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降格の辞令を受けて、気持ちが追いつかない。あるいは、人事担当として降格の辞令を出すことになった。『降格って、どんな種類があるの?何を確かめればいいの?』と考えている方もいるはずです。
結論から言うと、降格の辞令は「役職を外れる」「等級が下がる」「懲戒として下がる」の3つに分けて考えると、確かめることがはっきりします。どれに当たるかで、根拠になる就業規則の項目も違うんです。
この記事を読めば、降格人事の辞令の種類と、辞令を受けた時に落ち着いて確かめたいことが分かります。
降格の辞令とは?役職解任・降職との違い
降格の辞令とは、役職や社内の等級が下がることを会社が知らせる辞令です。労働基準法などの法令に「降格」の定義はなく、何を降格と呼ぶかは会社の就業規則や人事制度で決まります。
『降格と降職、役職解任って、どう違うの?』と迷いますよね。会社によって呼び方はまちまちですが、よく使われる意味を並べてみました。
| 言葉 | よく使われる意味 | 辞令の文面の例 |
|---|---|---|
| 降格 | 等級が下がる、または役職が下がること全般 | 「○等級に格付けする」 |
| 降職 | 役職が下がること(課長から係長など) | 「営業係長を命ずる」 |
| 役職解任 | 役職を外れること | 「営業課長の職を解く」 |
| 降任(公務員) | 下位の職制上の段階の官職に任命すること | 「イによりアに降任させる」 |
役職解任の辞令では、「○○の職を解く」「○○を免ずる」のような言葉がよく使われます。例えば札幌市の規程では、兼務を外れる時の文例に「何々兼務を解く」があります。
辞令役職変更のように、役職が変わるだけで等級は変わらない辞令もあります。辞令そのものの意味は辞令とは?意味と種類をわかりやすくで紹介しています。
降格は3種類:人事上の降格・等級の降格・懲戒の降格
降格の辞令は、「役職を外れる(人事上の降格)」「等級が下がる(職能資格の降格)」「懲戒としての降格」の3つに分けられます。どれに当たるかで、就業規則のどこを見ればいいかが変わります。
『自分の降格はどれに当たるんだろう』と思ったら、辞令の文面と就業規則を見くらべてみてください。3つを表にまとめました。

| 種類 | 何が下がるか | 確かめる就業規則の項目 | 給与への関わり |
|---|---|---|---|
| 人事上の降格 | 役職(課長から係長など) | 人事異動・役職の任免の決まり | 役職手当がなくなる・変わる |
| 等級の降格 | 職能資格などの等級 | 等級制度・格付けの決まり、賃金表 | 等級に合わせて基本給が変わる |
| 懲戒の降格 | 処分として役職や等級が下がる | 懲戒の種類と事由の決まり | 懲戒の規定と賃金規程による |
人事上の降格(役職を外れる)
人事上の降格は、仕事の割り振りや組織の見直しなどで役職が変わるものです。懲戒とは別の、人事の判断として行われます。
山梨労働局の解説では、仕事の内容が変わるような降格や異動で賃金が下がるのは、仕事内容の変更に伴う賃金額の変更なので、減給の制裁には当たらないとされています。
役付手当の切り替え時期も、会社の規程で決まります。厚生労働省のモデル就業規則には「降格によるときは、発令日の属する賃金月の次の賃金月から支給する」という規程例があります。
等級の降格(職能資格が下がる)
等級の降格は、会社の人事制度にある等級が下がるものです。役職は変わらず、等級と基本給だけが変わることもあります。
賃金の額が下がる場合は、労働条件の不利益変更に当たるかどうかも関わります。厚生労働省の解説では、不利益変更は労働者の同意を得て行うことができるものの、同意の有無は慎重に判断されるとしています。
懲戒の降格
懲戒としての降格は、就業規則の懲戒の決まりに沿って行われる処分です。懲戒の種類に「降格」があるかどうかは、会社ごとに違います。
- 辞令に「懲戒」「処分」という言葉があるか
- 辞令に役職名と等級のどちらが書かれているか
- 就業規則の懲戒の種類に「降格」が入っているか
- 給与のどの項目(役職手当・基本給)が変わるか
懲戒の辞令とは?減給の辞令との関係
懲戒の辞令とは、就業規則の懲戒の決まりに沿って処分を知らせる辞令です。懲戒の種類と程度は、懲戒の定めをする会社なら就業規則に書くことが労働基準法で決まっています。
『懲戒辞令とは、具体的にどんなものなの?』と気になる方もいるはずです。厚生労働省のモデル就業規則(第67条)では、懲戒の種類を次の4つにしています。
| 懲戒の種類 | モデル就業規則での中身 |
|---|---|
| けん責 | 始末書を提出させて将来を戒める |
| 減給 | 始末書を提出させて減給する(上限は労働基準法第91条の範囲) |
| 出勤停止 | 始末書を提出させるほか、決まった日数を限度に出勤を停止する |
| 懲戒解雇 | 予告期間を設けずに即時に解雇する |
モデル就業規則の懲戒の種類に「降格」は入っていません。ただ、解説では処分の種類はこの4つに限られず、公序良俗に反しない範囲で事業場ごとに決めることもできるとしています。
減給の辞令には上限がある
減給の辞令は、懲戒の一つとしての減給を知らせるものです。労働基準法第91条では、減給の制裁は「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と決めています。
懲戒にも「権利の濫用」の線がある
労働契約法第15条では、懲戒が、労働者の行為の性質や態様などに照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効になるとしています。
公務員の懲戒は法律で種類が決まっています。国家公務員法第82条では免職・停職・減給・戒告、地方公務員法第29条では戒告・減給・停職・免職です。札幌市の規程には「甲により戒告する」のような辞令の文例があります。
役職定年の辞令と、公務員の降任の辞令
役職定年の辞令は、年齢などの決まりに沿って役職を外れることを知らせるもので、懲戒とは別のものです。国家公務員にも、管理監督職勤務上限年齢制(役職定年制)があります。
『役職定年の辞令も、降格の辞令と同じなの?』と思う方もいますよね。実は、決まった年齢に達したことで役職を外れるもので、本人の評価とは別の仕組みなんです。
会社員の役職定年は、会社が人事制度として決めているものです。何歳で、どの役職から外れるかは、就業規則や人事制度の資料で確かめてみてください。
国家公務員の役職定年制
人事院と内閣人事局の資料では、管理監督職を占める職員は、60歳に達した日の後の最初の4月1日までに、管理監督職以外の官職に降任または降給を伴う転任をするとされています。令和5年4月に始まった仕組みです。
公務員の降任の辞令
国家公務員を降任させる時は、人事院規則8-12で、人事異動通知書を交付して行わなければならないとされています。人事院の通知の文例は「イによりアに降任させる」で、本人の意による降任なら「イにより」はいりません。
降格の辞令を受けた時に確かめること
降格の辞令を受けたら、まず辞令の文面・就業規則・給与の変わり方の3つを確かめます。気になる点があれば、会社の担当に聞き、それでも解決しない時は公的な相談窓口を使うという順番で進めると落ち着いて考えられます。
『どう受け止めればいいか分からない』という時ほど、事実を一つずつ確かめるのが近道です。確かめる順番を並べてみました。

- 辞令の文面で、発令日・新しい役職や等級・懲戒かどうかを確かめる
- 就業規則で、当てはまる項目(人事異動・等級・懲戒)を読む
- 給与のどの項目が、いつから変わるかを確かめる
- 分からない点を、人事の担当に落ち着いて聞く
- 解決しない時は、総合労働相談コーナーなどに相談する
人事の担当に聞く時は、こんな言い方がいいですね。
「今回の辞令について、就業規則のどの項目に基づくものか教えていただけますか?給与の変わり方もあわせて確かめたいです。」
総合労働相談コーナーは、都道府県労働局や労働基準監督署の中などにあり、配置転換や賃金の引き下げなども相談できます。辞令を断れるかどうかの考え方は、辞令は拒否できる?で紹介しています。
人事担当として降格の辞令を出す時は
辞令を出す側の方は、本人が内容を確かめやすいよう、文面を分かりやすくしておくのが親切です。
- 発令日と、新しい役職・等級が文面で分かる
- 人事上の降格か、懲戒の処分かが文面で分かる
- 根拠になる就業規則の項目を説明できる
- 給与の変わる項目と時期を本人に伝えられる
- 社内に知らせる範囲と方法を決めてある
社内に知らせる時は、異動と同じ「人事異動のお知らせ」の形でまとめて掲示する会社もあります。掲示の書き方は辞令の社内掲示・社内通知で紹介しています。
降格をきっかけに、これからを考える人へ
降格の辞令は、立ち止まってこれからの働き方を考えるきっかけにもなります。新しい立場で経験を積み直すのも、大切な選択です。
そのうえで、今の会社で続ける道と並べて外の選択肢も確かめておくと、落ち着いて判断しやすくなります。辞めるかどうかを考える時の進め方は辞令が出て会社を辞めたいと思ったらにまとめています。
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降格や懲戒の辞令でよくある疑問
知恵袋などでは「懲戒辞令とは何か」「降格と言われたのに書面の辞令がまだ」「発令日より後に辞令をもらった」という質問がよく見られます。どれも、就業規則と辞令の文面を確かめるところから始まります。
ネットのQ&Aでよく見かける質問を3つ、要約して取り上げます。
疑問1:懲戒辞令ってなんですか?
懲戒の辞令は、就業規則の懲戒の決まりに沿った処分を本人に知らせる通知です。けん責・減給・出勤停止などの種類があり、どれに当たるかは辞令の文面に書かれます。
懲戒の辞令を受けた時は、どの行為が就業規則のどの事由に当たるとされたのかを確かめておきましょう。分からない点は、担当の方に説明を求めてかまいません。
疑問2:降格と言われたのに、書面の辞令がまだ出ない
会社員について、辞令を書面で出すよう定めた法律の条文は確認できませんでした。書面を出すかどうかは会社の決まりによるので、正式な発令日と書面が出るかを担当に聞いてみてください。
「降格の件、正式な発令日はいつになりますか?辞令は書面でいただけますか?」と聞けば、角が立たずに確かめられます。口頭だけで伝えられた時は、伝えられた日と内容をメモしておくと安心です。
疑問3:発令日より後に、降格の辞令を受け取った
辞令の発令日と、受け取った日がずれることもあります。給与がいつから変わるかに関わるので、発令日と賃金の切り替え時期を担当に確かめておくと安心です。
公務員の例では、人事院の通知で、通知書の日付欄に異動を発令した年月日か異動が発生した年月日を書くとされています。会社の場合は就業規則や慣行で決まるので、自分の会社の扱いを確かめてみてください。
よくある質問
降格の辞令は断れますか?
断れるかどうかは、就業規則や労働契約の中身、降格の種類によって変わります。まずは辞令の根拠になる就業規則の項目を確かめ、納得できない点を担当に相談してみてください。
降格すると給与は下がりますか?
下がるとは限りません。役職手当だけが変わる場合、等級に合わせて基本給が変わる場合など、会社の賃金規程によって違います。
降格の辞令はいつから効力がありますか?
辞令に書かれた発令日から新しい役職や等級になるのが一般的です。役職手当などがいつの給与から変わるかは、賃金規程で決まるので担当に確かめてみてください。
役職解任の辞令と懲戒の辞令は同じですか?
同じではありません。役職解任は人事の判断として行われることが多く、懲戒は就業規則の懲戒の決まりに沿った処分です。辞令に「懲戒」「処分」とあるかで見分けられます。
まとめ
- 降格の辞令は「人事上の降格」「等級の降格」「懲戒の降格」の3つに分けて考える
- 降格に法令の定義はなく、就業規則や人事制度で中身が決まる
- 懲戒の種類と程度は就業規則に書かれ、減給には労働基準法第91条の上限がある
- 役職定年の辞令は年齢などの決まりによるもので、懲戒とは別
- 辞令を受けたら文面・就業規則・給与の変わり方を確かめ、担当に聞く





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