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転勤や異動の辞令を受けて、『もう辞めたほうがいいのかな』と気持ちが揺れている。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、辞令が出て辞めるかどうかは、すぐに決めなくて大丈夫です。辞令後の道は「受けて様子を見る」「条件を相談する」「社内で別の道を探す」「転職を考える」の4つがあり、それぞれ判断の材料と期限が違います。
この記事を読めば、4つの道の選び方と、辞令後に退職する時の確認・タイミングが分かります。
辞令とは?「辞める」の字が入っているのはなぜ
辞令の「辞」は、「辞める」という意味で使われているわけではありません。辞書では、辞令には任免の文書のほかに「ことばづかい」「応対のことば」という意味も載っています。辞令が出たからといって、辞めなさいという意味ではないんです。
『辞令って、辞める命令なの?』と不思議に思ったことはありませんか。実は、ネットの質問でもかなりよく見かける疑問なんです。
辞令とはどういう言葉なのか、辞書の意味から見ておきましょう。
| 辞書に載っている意味 | 使われる場面の例 |
|---|---|
| 官職・役職などの任免の際、その旨を書いて本人に渡す文書 | 人事の辞令、辞令交付式 |
| 人と応対するときの形式的な言葉やあいさつ | 社交辞令、外交辞令 |
| 文章上の言葉遣い、文章のあや | 文章の表現について言う時 |
出典はデジタル大辞泉(コトバンク掲載)です。辞書によって意味の並ぶ順番は違いますが、どれも「ことば」や「文書」に関わる意味になっています。
辞令にはなぜ「辞」の字が使われるのか
「辞令」は、なぜ辞めるの「辞」の字を使うのか。辞令の「辞」は、言葉の側の字だと考えると分かりやすいです。社交辞令の「辞令」と同じ字ですよね。
人事の辞令は、異動・昇進・採用などの決定を「言葉にして書いた文書」です。だから辞めない異動の辞令にも、同じ「辞」の字が使われています。
語源や「社交辞令」との関係をもっと知りたい方は辞令の読み方・語源をどうぞ。
公務員の場合は、退職の時にも人事異動通知書や辞令書が出されます。国家公務員の文例では、自分から辞める時は「辞職を承認する」と書かれます。くわしくは退職辞令とは?で紹介しています。
辞令が出て辞めたくなるのは、どんな時?
辞令が出て辞めたいと感じる理由は、大きく「場所」「仕事の中身」「役割の重さ」「家族の事情」に分かれます。どれが一番の理由かで、選ぶ道が変わってきます。
転勤の辞令で退職を考える人もいれば、異動の辞令で退職を考える人もいます。昇格の辞令が重荷で、辞めたいと感じる人もいるんです。
『自分は何がいちばん嫌なんだろう』と、まず理由を分けてみると、気持ちが少し落ち着きます。
- 引っ越しや通勤など、勤務地が変わることがつらい
- 新しい部署の仕事の内容が、やりたいことと違う
- 昇進・昇格で責任が重くなるのが不安
- 子育てや介護など、家族の事情で動けない
- 前から辞めたい気持ちがあり、辞令がきっかけになった
最初の4つは、会社との話し合いで変えられる可能性があります。最後の1つは、辞令とは別に、働き方そのものを考えたいサインかもしれません。
辞令の中身を確かめてから考える
気持ちが先に立つと、辞令の中身を落ち着いて見られないことがあります。まずは次の点をメモにしてみてください。
- 行き先(勤務地・部署)と、着任の日
- 期間の見込み(決まっているか、いつ戻れそうか)
- 引っ越しが要るか、単身赴任になるか
- 仕事の内容と役割がどう変わるか
内示の段階で迷っている時は、内示と辞令の違いも読んでおくと、残り時間の目安がつかめます。
家族の事情で辞めたい時は、先に会社へ伝えてみる
子育てや介護で引っ越しが難しい、という理由で辞めたくなる方もいますよね。その場合は、辞める前に一度、事情を会社へ伝えてみる価値があります。
育児・介護休業法の第26条では、就業場所が変わる異動で子育てや介護が難しくなる人がいる時、会社はその状況に配慮しなければならないとされています。
厚生労働省の指針では、配慮の例として、状況を把握すること、本人の意向をしんしゃくすること、代わりの手段があるかを確かめることなどが挙げられています。
「辞めるしかない」と思っていたことが、時期の調整や行き先の変更で解決することもあるんです。
辞令後の4つの道と、判断の材料・期限
辞令が出た後の道は「受けて様子を見る」「条件を相談する」「社内で別の道を探す」「転職を考える」の4つです。それぞれ、考えるのに使える時間が違うので、期限を意識しながら比べましょう。
辞めるか、受けるかの二択だと思うと苦しくなりますよね。実は、その間にも道があるんです。

| 道 | 判断の材料 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 受けて様子を見る | 期間の見込み、戻れる可能性、新しい仕事で得られる経験 | 着任後しばらく働いてから考え直せる |
| 条件を相談する | 着任時期、住まいの手当、単身赴任の扱いなど就業規則の制度 | 内示から発令日までが話しやすい |
| 社内で別の道を探す | 社内公募や希望の申告の制度、ほかの部署の空き | 次の人事の時期まで |
| 転職を考える | 勤務地の条件に合う求人があるか、在職中に動けるか | 退職の申し出の期限から逆算する |
期限は会社によって違うので、あくまで目安です。辞令が出てから着任までが短い会社もあるので、まず発令日と着任日を確かめておきましょう。
道1:受けて様子を見る
辞令を受けて続けるのは、十分に前向きな選択です。新しい場所や仕事での経験が、のちの選択肢を広げることもあります。
「とりあえず1年やってみて、それから考える」と区切りを決めておくと、気持ちが楽になりますよ。
受けると決めた時は、着任前に「期間の見込み」「住まいの手当や単身赴任の扱い」「戻る時の考え方」を人事に聞いておきましょう。分からないまま着任するより、ずっと見通しが立ちやすくなります。
道2:条件を相談する
『場所は嫌じゃないけど、今すぐは困る』という時は、条件の相談ができます。厚生労働省の転勤の手引きでも、時期をずらすなどの個別の調整が挙げられています。
子育てや介護の事情がある時は、育児・介護休業法の第26条で、会社に配慮する義務があります。断れるかどうかの考え方は辞令は拒否できる?でくわしく紹介しています。
道3:社内で別の道を探す
今回の辞令は受けつつ、次の異動で希望を出す道もあります。社内公募や自己申告の制度があるかは、会社の就業規則や人事の案内で確かめてみてください。
道4:転職を考える
勤務地を動かせない事情がずっと続く時や、辞令の前から別の働き方を考えていた時は、転職も選択肢です。辞める前に、在職中に動く進め方を後ほど紹介しますね。
辞令後に退職する前に確かめたいこと
辞める前に確かめたいのは「退職の申し出の期限」「辞令の扱い」「退職後に必要な書類」の3つです。順番に見ておくと、慌てずに手続きを進められます。
『辞令が出た後に辞めるって言っても大丈夫なの?』と心配になりますよね。ここでは、法律と就業規則で決まっていることを見ていきます。
退職の申し出はいつまでにする?
期間の定めのない雇用なら、民法第627条第1項で、退職の申入れから2週間で雇用は終わると定められています。
一方、多くの会社の就業規則には「退職願を何日前までに出す」という決まりがあります。厚生労働省のモデル就業規則でも、日数を各社で決める形の規程例になっています。
- 退職願を何日前までに出すことになっているか
- 退職願の出し方(書面か、誰に出すか)
- 退職金の決まりがあるか、どんな条件か
- 有期の契約の場合、契約期間がいつまでか
円満に辞めたいなら、就業規則の日数に合わせて早めに申し出るのが安心です。
辞令が出た後に辞めると、辞令はどうなる?
辞令が出た後に退職を申し出た時、辞令を取り消すかどうかを決めた法律はありません。会社の判断になります。
着任日より前に退職日が来るなら、新しい職場に行かないまま退職になる場合もあります。逆に、着任日の後に退職日が来る時は、一度着任してから辞めることもあります。
「辞令のことも含めて、退職の時期をご相談させてください」と、上司に率直に聞いてみるのがいちばん早いですよ。
辞令拒否のまま辞めるのとは違う
有効な辞令を拒み続けると、懲戒の対象になる場合があります。自分から退職を申し出るのとは、扱いが変わることがあるんです。
辞令を無視して新しい職場に行かず、そのまま辞めようとすると、話がこじれやすくなります。辞めると決めたら、辞令の着任日より前に、退職の意思と時期を言葉で伝えておきましょう。
退職後に必要な書類
退職の時は、次の書類のことも覚えておくと安心です。
| 書類 | 出すのは誰? | 押さえておきたいこと |
|---|---|---|
| 退職証明書 | 会社 | 請求すれば会社は遅滞なく交付する(労働基準法第22条)。請求しない事項は書かれない |
| 離職票 | ハローワーク(公共職業安定所長) | 会社が離職証明書を作って届け出て、ハローワークが交付する |
公務員の退職辞令と、会社の退職証明書の違いは退職辞令とは?で紹介しています。
辞令後に退職する時の進め方とタイミング
辞令後に退職するなら、内示から着任までの流れの中で、いつ何をするかを決めておくのがコツです。退職の申し出は、着任日と就業規則の期限の両方から逆算します。
『辞めるとしたら、いつ言えばいいの?』という方のために、時間の流れに沿って並べてみました。

| 時期 | やること | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 内示を受けた時 | 辞令の中身をメモにし、4つの道を比べる | 内示の内容は正式発表まで口外しない |
| 辞令が出る前後 | 条件の相談をするか、辞めるかを決める | 転職するなら在職中に情報を集め始める |
| 退職を決めた時 | 上司に退職の意思と時期を伝える | 就業規則の退職願の期限を守る |
| 退職日まで | 引き継ぎの資料を作り、関係者にあいさつする | 新しい職場の担当者とも連絡を取る |
| 退職後 | 退職証明書・離職票を受け取る | 必要なら会社に請求する |
内示の扱いは会社ごとに決まりがあるので、口外しないことを求められていないかも確かめておきましょう。
上司への伝え方の例
伝え方に迷ったら、例えばこんな言い方があります。
「このたびの辞令について、よく考えました。家族の事情で転居が難しく、退職させていただきたいと考えています。就業規則に沿って、退職日をご相談させてください」
理由を長く説明しなくても大丈夫です。退職の意思と、時期を相談したいことがはっきり伝われば十分です。

上司から引き止められた時のために、答え方も考えておくと落ち着いて話せます。例えばこんなやりとりです。
「転勤の時期をずらせば、続けられそうかな?」
「ありがとうございます。ただ、事情は当面変わらない見込みなので、退職の気持ちは変わりません。引き継ぎはしっかりさせていただきます」
引き止めの言葉に迷いが出たら、その場で答えず「一度持ち帰って考えます」と伝えても大丈夫です。
- 就業規則で退職願の期限と出し方を確かめる
- 転職するなら、在職中に求人の情報を集める
- 直属の上司に、退職の意思と時期を伝える
- 退職願を出し、退職日を決める
- 引き継ぎを済ませ、退職証明書などの書類を受け取る
転勤の準備と並行して考える時は、転勤の辞令とは?で引っ越しや家族の準備の流れも見ておくと安心です。
転職を考える時は、辞める前に動き始める
転職を考えるなら、辞めてから探すより、在職中に動き始めるほうが落ち着いて選べます。求人票の勤務地と「変更の範囲」を見て、同じ悩みをくり返さない会社を選びましょう。
『転職するにしても、何から始めればいいの?』と思いますよね。まずは、次の3つを押さえておきましょう。
求人票の勤務地と「変更の範囲」を見る
令和6年4月1日以降、労働契約を結ぶ時には、就業場所と業務の「変更の範囲」を書面で示すことになりました。募集の時にも、変更の範囲を示すことが職業安定法施行規則の改正で加わっています。
求人票に「変更の範囲:変更なし」とあれば、勤務地が限られている求人です。「会社の定める営業所」のような書き方なら、転勤がありうると読み取れます。
ハローワークと転職エージェントを並べて使う
相談先は、公的なハローワークと、民間の転職エージェント(有料職業紹介事業者)があります。
| くらべる点 | ハローワーク | 転職エージェント |
|---|---|---|
| 運営 | 国の機関(公共職業安定所) | 厚生労働大臣の許可を受けた民間の事業者 |
| 費用 | 職業安定法で「無料で公共に奉仕する機関」とされている | 求職者からは手数料を取らないのが原則 |
| 探し方 | 求人を自分で探し、窓口で相談もできる | 担当者と勤務地の条件をすり合わせながら探せる |
転職エージェントが許可を受けているかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで調べられます。どちらか一方に決めず、両方の求人を見比べる人もいます。
仕事の時間中や会社のパソコン・メールで転職の活動をするのは避けましょう。内定が出る前に退職の意思を伝えると、次が決まらないまま退職日が来てしまうこともあります。
辞令をきっかけに、今の会社で続ける道と並べて、外の選択肢も一度見ておく。それだけで、辞めるかどうかを落ち着いて決められるようになります。勤務地の条件に合う求人がどれくらいあるか、まずは話を聞いてみるところから始めてみてください。
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辞令をきっかけに働き方を見直すなら、転職エージェントに相談してみる
転勤や異動の辞令は、これからの働き方を考えるきっかけにもなります。今の会社で続ける道と並べて、勤務地や仕事内容の希望を伝えて求人を紹介してもらえる転職エージェントで、選択肢を確かめておくのも一つの方法です。
転職サポートLHH転職エージェントの公式サイトを見る(転職エージェント「LHH転職エージェント」の公式サイトに移動します。サービスの内容・利用条件は公式サイトで最新の情報をご確認ください)
転勤や異動の少ない仕事の探し方は、転勤・異動の少ない仕事へ転職するにはでくわしく紹介しています。
辞令で辞めるか迷った時によくある疑問
よく見かけるのは「昇格の辞令が重くて辞めたい」「辞令には従うしかない?」「辞めると言えば辞令は取り消される?」の3つです。どれも、気持ちと手続きを分けて考えると答えが見えてきます。
ネットのQ&Aでよく見かける相談を3つ、要約して紹介しますね。
疑問1:昇格の辞令が出たけれど、辞めたい
転職して間もない職場で昇格の辞令が出て、責任の重さから辞めたくなった、という相談です。
昇格は評価されている証でもあります。ただ、不安が大きいまま無理をすると、気持ちが続かないこともありますよね。
まずは「何が不安なのか」を上司に伝えてみてください。仕事の量なのか、部下を持つことなのかで、会社ができる支えが変わります。それでも気持ちが変わらなければ、転職も含めて考えればいいんです。
疑問2:辞令には従うしかない?断るなら辞める覚悟がいる?
辞令には何があっても従うものなのか、断るなら辞める覚悟が必要なのか、という質問です。
就業規則に異動の定めがあれば、辞令は業務命令として扱われ、原則として従うことになります。ただし、契約で勤務地や職種が限られている時などは話が変わります。
断ることと辞めることは、セットではありません。まず事情を伝えて相談し、それでもまとまらない時に、続けるか辞めるかを考えれば大丈夫です。
疑問3:辞めると言えば、転勤の辞令は取り消される?
辞令が出た後に退職を申し出たら、転勤させずにそのまま退職させてもらえるのか、という質問です。
先ほど見たとおり、辞令を取り消すかどうかを決めた法律はなく、会社の判断になります。退職日と着任日のどちらが先かでも変わります。
「退職日までの勤務はどうなりますか」と上司に聞いて、書面やメールで確かめておくと安心です。
よくある質問
異動の辞令で退職するのはよくないことですか?
よくないことではありません。異動の辞令を受けて続けるのも、退職するのも、どちらも正当な選択です。大事なのは、就業規則の手続きに沿って、時期を相談しながら進めることです。
転勤の辞令で退職する場合、何日前に伝えればいいですか?
期間の定めのない雇用なら、民法では退職の申入れから2週間で雇用が終わります。会社の就業規則に退職願の期限があるので、まずはその日数を確かめて、早めに伝えましょう。
辞令後に退職すると退職金はどうなりますか?
退職金の有無や条件は、会社の就業規則や退職金の規程で決まります。辞令の後かどうかより、規程に書かれた条件を確かめてみてください。
辞令とは辞めることを命じるものですか?
いいえ。辞令は、異動・昇進・採用などの人事の決定を書いた文書のことです。辞書には「ことばづかい」という意味も載っていて、「辞める」という意味ではありません。
辞令が出た後に退職を申し出てもいいですか?
申し出ることはできます。辞令の扱いは会社の判断になるので、着任日と退職日の関係を上司に確かめながら進めましょう。
まとめ
- 辞令の「辞」は辞める意味ではなく、辞令は人事の決定を書いた文書
- 辞令後の道は、受けて様子を見る・条件を相談する・社内で別の道を探す・転職を考えるの4つ
- 退職は民法では申入れから2週間で終わるが、就業規則の退職願の期限も確かめる
- 辞令後に辞める時は、着任日と退職日の関係を上司と相談する
- 転職を考えるなら在職中に動き、求人票の勤務地と変更の範囲を見る





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