辞令とは?意味をわかりやすく|辞令が出る場面・種類と内示との違い

辞令とは何かを、辞令が出る場面や種類、内示との違いから紹介する記事のアイキャッチ。机の上の書類と万年筆

当サイトの記事は編集部が法令や厚生労働省・人事院などの公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。個別の労働相談・法律相談には対応していません。記事内に転職サービスへの案内(広告)を含む場合があります。

上司から「来週、辞令が出るから」と言われて、そもそも辞令って何だろうと思った方も多いはずです。

結論から言うと、辞令とは、会社や役所が異動・昇進・休職などの人事を本人に伝える正式な通知のことです。紙の辞令書で渡すこともあれば、メールや社内掲示で伝える会社もあります。

この記事を読めば、辞令の意味と種類、内示や発令との違い、辞令が出た時に確かめたいことまで一通り分かります。

目次

辞令とは?意味を簡単に言うと「人事の命令を伝える通知」

先に結論

辞令とは、勤め先が「あなたを○○に任命します」「○○への異動を命じます」と本人に伝える通知です。会社の辞令も人事辞令も、ふだんは同じものを指しています。

辞令という言葉は、ふだんの生活ではあまり使いませんよね。

でも働き始めると、入社・異動・昇進・退職など、節目のたびに出てくる言葉なんです。

辞書ではどう説明されている?

辞書を引くと、辞令にはいくつかの意味が並んでいます。

辞書書かれている主な意味
デジタル大辞泉官職・役職などの任免の際、その旨を書いて本人に渡す文書。人と応対する時の形式的な言葉やあいさつ。文章上の言葉遣い
精選版日本国語大辞典ことばづかい・挨拶のことば。文章上のあや。官職・役職などを任免する時、その旨を書いて本人に渡す文書

『社交辞令の辞令と同じ字なの?』と思った方、その通りです。

辞令には「言葉づかい・あいさつ」という意味もあって、社交辞令はそちらの意味から来ています。

この記事で扱うのは、人事の命令を書いた文書としての辞令です。言葉の成り立ちは辞令の意味・読み方と社交辞令との関係で詳しく紹介しています。

「会社の辞令」「人事辞令」は何を指す?

会社の辞令、人事辞令、社内辞令など、呼び方はいろいろあります。

どれも「勤め先が人事について本人に出す正式な通知」という意味で、大きな違いはありません。会社によって呼び方が違うだけ、と考えて大丈夫です。

辞令に法律上の決まった定義はない

実は、辞令という言葉は法律では決められていません。

労働基準法・労働契約法・民法・育児介護休業法の本文には「辞令」という語が出てこないんです。会社員の辞令の中身や出し方は、それぞれの会社の就業規則や慣行で決まります。

補足

会社員の配置転換や昇進のたびに、辞令という書面を出すよう定めた法律の条文は見当たりません。法律で書面が求められているのは、入社時や契約更新時の労働条件の明示です。

辞令は「いつ・誰が・誰に・何を」の4つでできている

4つの要素で読む

どんな辞令も「いつから(発令日)」「誰が(発令する人)」「誰に(本人)」「何を(命じる内容)」の4つでできています。この4つを確かめれば、初めて見る辞令でも中身がつかめます。

辞令書を初めて受け取ると、堅い言葉が並んでいて読みにくいですよね。

ただ、書いてあることを分けてみると、実は4つの要素しかないんです。

辞令を「いつ(発令日)」「誰が(発令する人)」「誰に(本人)」「何を(命じる内容)」の4つの要素に分けて示した図解
要素辞令のどこに書かれる?読む時のポイント
いつ(発令日)「令和○年○月○日付」などの日付効力が始まる日。受け取った日と違うことがある
誰が(発令する人)会社名と代表者名、役所なら任命権者誰の権限で命じているかが分かる
誰に(本人)氏名と、今の所属・役職自分の名前と現職が正しいかを見る
何を(命じる内容)「営業部勤務を命ずる」などの本文異動・昇進・休職など、何が変わるのか

例えば、辞令書に「令和○年○月○日付で営業部勤務を命ずる」と書いてあったとします。

この場合、いつは「令和○年○月○日」、何をは「営業部で働くこと」です。発令日の考え方は辞令と発令の違い、発令日・交付日の意味で詳しく見ていきます。

「誰が」出すかは、会社と公務員で違う

4つのうち、会社員と公務員で一番違うのが「誰が」の部分です。

会社員の場合は、就業規則にもとづいて会社が出します。公務員の場合は、法律や規則にもとづいて任命権者が出します。

項目会社員の辞令国家公務員の辞令
出す根拠就業規則・労働契約国家公務員法・人事院規則8-12
出す人会社(社長・人事部など)任命権者
書類の名前辞令、辞令書など会社ごと人事異動通知書
書面で出す決まり法律の決まりはなく会社ごと採用・昇任・転任などの時に交付する決まりがある

人事院規則8-12の第53条では、職員を採用・昇任・転任・配置換した時などに、任命権者が人事異動通知書を交付しなければならないと定めています。

地方の役所では、自治体ごとの規程で決めています。

例えば札幌市の規程には「職員の発令は、辞令書の交付により行うものとする。」とあります。

公務員の辞令は公務員の辞令と人事異動通知書で紹介しています。

会社の辞令の根拠は就業規則

『会社って、勝手に異動を決められるの?』と気になる方もいますよね。

厚生労働省のモデル就業規則第8条には、業務上必要がある場合に就業する場所や業務の変更を命ずることがある、という規程例があります。会社の辞令は、こうした就業規則の規程を根拠に出されているんです。

自分の会社の決まりを確かめるところ
  • 就業規則の「人事異動」「配置転換」の条文を読む
  • 入社時の労働条件通知書で、勤務地や業務の「変更の範囲」を見る
  • 辞令の出し方(書面・メール・掲示)が決まっているかを人事に聞く

辞令の種類早見表|異動・昇進・給与・休職・退職

種類で分かれても、中身の形は同じ

辞令には、異動・昇進・降格・出向・兼務・休職・給与・採用・退職など多くの種類があります。種類が違っても「いつ・誰が・誰に・何を」の形は変わりません。

辞令と一口に言っても、出る場面はたくさんあります。

主な種類を、4つの要素の「何を」で分けて一覧にしました。

辞令の種類何を命じる?辞令の文の例詳しい記事
異動(配置換)部署や仕事内容が変わる営業部勤務を命ずる異動の辞令
転勤働く場所が変わる○○支店勤務を命ずる転勤の辞令
昇進・昇格役職や等級が上がる営業課長を命ずる昇進・昇格の辞令
降格・役職解任役職や等級が下がる営業課長の任を解く降格の辞令
出向・転籍別の会社で働く○○株式会社への出向を命ずる出向・転籍の辞令
兼務今の仕事に別の仕事を足す企画部兼務を命ずる兼務辞令
休職・復職仕事を一時休む・戻る休職を命ずる、復職を命ずる休職・復職の辞令
給与給与や等級の決定○級に決定する給与辞令
採用・入社社員として採用する社員として採用する入社の辞令
退職退職を承認する願により退職を承認する退職辞令

表の文の例は、会社によって言い回しが違います。「命ずる」「命じる」「任命する」など、書き方は会社の慣行しだいなんです。

異動・転勤・昇進・降格・出向・兼務・休職・給与・採用・退職の辞令の種類を、命じる内容ごとに並べた図解

異動・転勤の辞令

一番よく出るのが、部署や勤務地が変わる辞令ですよね。

最高裁判所の判決(昭和61年7月14日)では、会社は業務上の必要に応じて勤務場所を決められるとしつつ、転勤命令の権利を濫用してはいけないとしています。中身は異動の辞令が出たらやることと転勤の辞令と引っ越しの準備で紹介しています。

出向・転籍の辞令

出向は、今の会社に籍を置いたまま、別の会社で働く形です。労働契約法第14条では、出向の命令が権利の濫用にあたる場合は無効と定めています。

転籍は、籍そのものを別の会社に移す形です。

民法625条1項に「使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。」とあり、本人の承諾が必要とされています。

違いは出向・転籍の辞令で詳しく見られます。

昇進・降格・給与の辞令

昇進や昇格の辞令は、うれしい知らせになることが多いですよね。

モデル就業規則の役付手当の規程例では、昇格は発令日の属する賃金月から、降格は発令日の属する賃金月の次の賃金月から支給するとしています。発令日が給与の切り替えに関わることもあるので、日付は見落とさないようにしましょう。

休職・退職の辞令

休職の辞令は、仕事を一定期間休むことを命じるものです。

モデル就業規則の解説では「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。」とされ、会社の就業規則で決まります。

退職の辞令は、公務員では「辞職を承認する」「退職した」といった形で人事異動通知書に書かれます。会社員の場合は、退職証明書との違いも気になるところです。

在宅勤務の辞令はある?

最近は「在宅勤務を命ずる」という辞令が出る会社もあります。

在宅勤務の辞令に決まった形はなく、会社ごとの扱いです。厚生労働省のパンフレットでは、テレワークが通常想定される場合は、就業場所やその変更の範囲にテレワークを行う場所を含めて明示するとしています。

よくある勘違い

臨時の応援や出張、研修は、労働条件として明示する「就業場所・業務」には含まれないと厚生労働省のパンフレットにあります。一時的な応援まで、すべて正式な辞令で出るとは限りません。

内示と辞令の違い|「辞令が出る」「辞令が下りる」の意味も

内示は予告、辞令は正式な通知

内示は、正式な辞令の前に本人へ内々に伝える予告です。辞令が出る、辞令が下りるは、どちらも正式な通知が出たことを言います。

『内示を受けたけど、これってもう決まりなの?』と迷う方も多いはずです。

内示と辞令は、時期と重みが違います。違いを並べてみました。

内示
  • 正式な辞令の前に、本人に内々で伝える
  • 口頭やメールで伝えることが多い
  • 周りに広めないよう求められることがある
辞令
  • 人事を正式に命じる通知
  • 辞令書・メール・掲示などで出る
  • 社内に公表されることが多い

内示にも、法律で決まった定義はありません。会社によって、内示を出すかどうか、いつ出すかも違います。

札幌市の規程では、昇任や勤務の発令をする時に、必要に応じて書面または口頭で内示を行うと定めています。役所でも、内示は辞令の前の段階として位置づけられているんです。

内示の詳しい話は内示と辞令の違いで紹介しています。

「内辞令」とはどういう意味?

「内辞令」という言い方を耳にすることもあります。

ただ、内辞令は法律や公的な資料で決まった言葉ではありません。多くは、正式な辞令の前に伝える内示と同じ意味で使われているようです。

会社で聞いたら、「内示のことですか」と確認しておくと安心ですよ。

「辞令が出る」の意味と使い方

辞令が出るとは、会社や役所から人事の正式な通知が出たことを言います。

例えばこんな会話です。

「来月から大阪支店だって?」
「そうなんです。今日、正式に辞令が出ました」

「辞令が下りる」の意味と使い方

辞令が下りる(辞令がおりる)も、意味は辞令が出るとほぼ同じです。

「上から下へ命令が届く」イメージなので、本人の側から言う時によく使われます。「異動の辞令が下りた」「まだ辞令が下りていない」のように使ってみてください。

「異動の話、もう決まったの?」
「内示はあったけど、まだ辞令が下りていないんだ」

発令とは?辞令との違い

発令は、辞令の内容を正式に有効にすること、または有効になる日を指して使われます。

国の人事異動通知書の記入要領では、「発令日」を「異動を発令した年月日又は異動が発生した年月日」としています。辞令は「通知そのもの」、発令は「命令を出すこと」と覚えておくと分かりやすいですよ。

辞令が出たら最初に確かめたいこと

4つの要素と、自分の契約を照らし合わせる

辞令が出たら、まず4つの要素を確かめ、次に自分の労働条件と食い違いがないかを見ておきましょう。気になる点は、人事に早めに聞くのが近道です。

辞令が出ると、うれしい時もあれば、戸惑う時もありますよね。

どちらの場合でも、最初にやることは同じです。順番に見ていきましょう。

辞令が出た時の確認の順番
  1. 発令日(いつから)と命じる内容(何を)を読む
  2. 勤務地・仕事内容・給与がどう変わるかを書き出す
  3. 就業規則と労働条件通知書の「変更の範囲」と照らし合わせる
  4. 引っ越しや家族の事情など、困ることがあれば整理する
  5. 分からない点を人事や上司に聞く

労働条件の「変更の範囲」を見てみよう

令和6年4月1日以降に結んだ労働契約では、勤務地や業務の「変更の範囲」も書面で明示することになっています。厚生労働省のリーフレットでは、変更の範囲を「将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲」と説明しています。

入社時の書類に「変更の範囲:変更なし」とあるのに、勤務地が変わる辞令が出た時は、人事に確かめてみてください。

辞令は断れる?

『正直、この辞令は受けたくない…』と思うこともありますよね。

最高裁判所の判決(昭和61年7月14日)は、業務上の必要性がない場合、不当な動機・目的がある場合、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がある場合などの特段の事情があれば、転勤命令は権利の濫用になるとしています。反対に言えば、こうした事情がなければ、就業規則にもとづく辞令は受けるのが原則です。

また、育児介護休業法第26条では、勤務地が変わる配置の変更で子育てや介護が難しくなる人がいる時は、会社がその状況に配慮しなければならないと定めています。

状況まずやること相談できるところ
内容がよく分からない人事・上司に説明を求める社内の人事部
子育てや介護が難しくなる事情を具体的に伝え、時期や場所の調整を相談する人事部・上司
契約と食い違う気がする労働条件通知書と就業規則を見比べる総合労働相談コーナー(都道府県労働局)
話し合いで解決しない経緯をメモして専門家に相談する総合労働相談コーナー、弁護士

総合労働相談コーナーは、配置転換を含む労働問題の相談を受けている厚生労働省の窓口です。断る前の考え方は辞令は拒否できる?断る前に確かめたいことにまとめています。

自己判断で動かない

辞令に従わずに出社しない、虚偽の理由で断るといった対応は、かえって立場を悪くします。納得できない時は、まず話し合いと相談の順で進めてみてください。

辞令をきっかけに、働き方を考える人も

辞令を受けて、新しい部署でがんばるのも立派な選択です。

一方で、転勤や仕事内容の変化をきっかけに「この先どう働きたいか」を考え直す人もいます。今の会社で続ける道と並べて、外の選択肢も確かめておくと、落ち着いて判断しやすくなりますよ。

LHH転職エージェント(PR)

辞令をきっかけに働き方を見直すなら、転職エージェントに相談してみる

転勤や異動の辞令は、これからの働き方を考えるきっかけにもなります。今の会社で続ける道と並べて、勤務地や仕事内容の希望を伝えて求人を紹介してもらえる転職エージェントで、選択肢を確かめておくのも一つの方法です。

転職サポートLHH転職エージェントの公式サイトを見る

(転職エージェント「LHH転職エージェント」の公式サイトに移動します。サービスの内容・利用条件は公式サイトで最新の情報をご確認ください)

辞令についてよくある疑問

知恵袋で多い質問に答えます

辞令について、よく読まれている質問を選んで、要点をまとめて答えます。

内示と辞令と発令は、何が違うの?

人事異動の「内示」「辞令」「発令」の違いを聞く質問は、とても多く読まれています。

内示は正式な辞令の前の予告、辞令は人事を正式に命じる通知、発令は命令を出すこと、またはその効力が始まる日を指して使われます。

国の人事異動通知書では、異動を発令した日や異動が発生した日を「発令日」として記入します。会社の場合は扱いが会社ごとなので、自分の会社のやり方を人事に確かめてみてください。

辞令を受けるか、退職するかで悩んでいる

異動の辞令が出て、受けるか辞めるかで迷っているという相談もありました。

結論から言うと、すぐに答えを出す前に、辞令の中身と自分の困りごとを紙に書き出してみるのがおすすめです。勤務時間や通勤、家族の事情など、何が一番困るのかが見えると、会社に相談できることも見えてきます。

それでも続けるのが難しい時は、退職の手続きと進め方を知ってから動きましょう。辞令が出て会社を辞めたいと思ったらで順番を紹介しています。

辞令が出た後に、会社が内容を変えることはある?

「4月1日付の異動辞令を受けたが、その後に会社が変更できるのか」という質問もありました。

辞令の取り消しや変更について、法律で決まった手続きはありません。会社の就業規則や慣行による扱いになります。

変更の連絡があった時は、新しい辞令の発令日と内容を確かめて、前の辞令とどこが違うのかを人事に聞いておきましょう。

よくある質問

辞令とは簡単に言うと何ですか?

会社や役所が、異動・昇進・休職などの人事を本人に正式に伝える通知のことです。辞令書という紙で渡すほか、メールや社内掲示で伝える会社もあります。

辞令が出る意味と、辞令が下りる意味は違いますか?

どちらも、人事の正式な通知が出たという意味で、ほぼ同じように使われます。辞令が下りるは、上から命令が届くイメージで本人の側から言う時によく使われます。

辞令は法律で決まっているものですか?

会社員の辞令について、法律で決まった定義や書式はありません。会社の就業規則や慣行で決まります。国家公務員の場合は、人事院規則8-12で人事異動通知書の交付が定められています。

内示を受けたら、もう辞令は変わりませんか?

内示は正式な辞令の前の予告で、法律で決まった定義はありません。扱いは会社ごとなので、気になる点があれば内示の段階で人事に相談してみてください。

在宅勤務の辞令は出るものですか?

在宅勤務を辞令で命じる会社もありますが、決まった形はありません。テレワークが通常の働き方になる場合は、就業場所にテレワークの場所を含めて明示するよう厚生労働省が案内しています。

まとめ

この記事の要点
  • 辞令とは、勤め先が人事を本人に正式に伝える通知のこと
  • どの辞令も「いつ・誰が・誰に・何を」の4つで読める
  • 会社員の辞令は就業規則、公務員の辞令は法律や規則が根拠
  • 内示は予告、辞令は正式な通知、発令は命令を出すことや効力の始まり
  • 辞令が出たら、内容と労働条件の「変更の範囲」を照らし合わせる
辞令ドットコム

辞令ドットコム 編集部

辞令の意味や種類、辞令交付式での受け取り方、辞令書の書き方、異動・転勤の辞令が出た時の考え方を、法令と公的機関の情報をもとにわかりやすく整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次