転勤・異動の少ない仕事へ転職するには|辞令をきっかけに考える時の進め方

辞令をきっかけに転勤・異動の少ない仕事へ転職する時の進め方を紹介する記事のアイキャッチ。窓辺の机と街並み

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転勤や異動の辞令が出て、『この先も何度も引っ越すのかな』と考えてしまった。辞令をきっかけに転職を考え始める方は、実は少なくありません。

結論から言うと、辞令で転職を考える時は「今の会社で変えられること」「求人票の勤務地・転勤の書き方」「相談先」の3段階で確かめていくと、失敗しにくくなります。

この記事を読めば、転勤・異動の少ない働き方を探す時の見るべきポイントと、在職中に動く時の進め方が分かります。

目次

辞令をきっかけに転職を考えるのは自然なこと

先に結論

辞令は、自分の働き方を見直すきっかけになりやすい出来事です。ただ、転職がいつも正解とは限りません。今の会社で解決できる悩みか、ずっと続く悩みかを分けてから動くのがコツです。

『辞令が出たくらいで転職を考えるのは、大げさかな』と思う方もいるかもしれません。でも、勤務地や仕事の中身が変わるのは、暮らしに直結する大きな変化ですよね。

まずは、今の悩みがどちらのタイプか見てみましょう。

悩みのタイプ例向いている動き方
今回だけの悩み着任の時期が家庭の予定と重なる、今の仕事が区切りのいい所まで終わっていない時期や条件を会社に相談する
今の会社で変えられるかもしれない悩み子育てや介護で引っ越しが難しい、勤務地を限った働き方に切り替えたい社内の制度を確かめ、人事に相談する
ずっと続く悩み転勤がこれからも何度もあり、暮らしの予定が立たない在職中に転職の情報を集める

辞令を受けて今の会社で続けることも、十分に正当な選択です。転職は「今の会社で続ける道」と並べてくらべるためのもう一つの道、と考えておきましょう。

辞令そのものの意味や種類から知りたい方は、辞令とは?もどうぞ。

転職を考える時の3段階チェックリスト

ここでの結論

辞令で転職を考える時は、順番が大事です。「今の会社で変えられること」を確かめ、次に「求人票の勤務地・転勤の書き方」を見て、最後に「相談先」を選びます。

『何から手をつければいいか分からない』という方も多いはずです。ここでは、迷わないように3つの段階に分けてみました。

辞令で転職を考える時の3段階を、今の会社で変えられること・求人票の見方・相談先の順に並べた図解
段階1:今の会社で変えられること
  • 就業規則と労働条件通知書で、勤務地や職種の限定があるか確かめた
  • 着任の時期や行き先を相談できるか、上司や人事に聞いた
  • 子育てや介護の事情を、会社に伝えた
  • 勤務地を限った働き方や社内公募の制度があるか調べた
段階2:求人票で見る勤務地・転勤の書き方
  • 就業場所の「雇入れ直後」と「変更の範囲」の両方を見た
  • 「変更なし」「○○県内」「会社の定める事業所」のどれに近いか確かめた
  • テレワークや在籍出向の扱いが書かれているか見た
  • 分からない点を、応募前か面接で聞く準備をした
段階3:相談先(ハローワーク・転職エージェント)
  • ハローワークと転職エージェントの違いを知った
  • 転職エージェントが厚生労働大臣の許可を受けているか確かめた
  • 勤務地のゆずれない条件を、相談先に伝えられる言葉にした

ここからは、それぞれの段階をくわしく見ていきますね。

段階1:今の会社で変えられることを先に確かめる

ここでの結論

転職の前に、今の会社で辞令の中身を変えられないかを確かめます。勤務地や職種の限定、時期の調整、家族の事情への配慮など、使える決まりがないかを見ておくと、後悔が少なくなります。

『どうせ会社は変えてくれない』と思い込んでしまうと、使える道を見落とすこともあります。まずは書類から確かめてみましょう。

就業規則と労働条件通知書を読む

会社の辞令を断れるかどうかは、就業規則と労働契約の中身で決まります。勤務地や職種を限定する約束がある人は、その外への辞令について話が変わってきます。

厚生労働省は、転勤の範囲が限られていたり、転居を伴う転勤がなかったりする「勤務地限定正社員」という働き方を紹介しています。限定があるかどうかは、就業規則や労働契約書などで明示することが勧められています。

断れるかの考え方は、辞令は拒否できる?でくわしく紹介しています。

勤務地を限った働き方に切り替えられないか聞く

会社によっては、勤務地を限った正社員の区分を設けていることがあります。今の会社にそうした制度があれば、転職せずに悩みが解決するかもしれません。

「勤務地を限った働き方に切り替える制度はありますか」と人事に聞くだけでも、選べる道がはっきりします。制度がない時も、聞いたこと自体が、転職を考える時の判断材料になりますよ。

時期や行き先の調整を相談する

厚生労働省の「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」では、候補の段階での「打診」が挙げられています。時期をずらす、通勤できる範囲の異動で代えるといった個別の調整も紹介されています。

相談するなら、正式な辞令の前の内示の時期が話しやすいタイミングです。例えばこんな言い方があります。

「今回のお話、前向きに考えたいと思っています。ただ、家族の事情で今すぐの転居が難しいため、時期の調整をご相談できないでしょうか」

子育て・介護の事情は会社に伝える

育児・介護休業法の第26条では、就業場所が変わる異動で子育てや介護が難しくなる人がいる時、会社はその状況に配慮しなければならないとされています。

厚生労働省の指針では、状況を把握すること、本人の意向をしんしゃくすること、代わりの手段があるかを確かめることなどが例に挙がっています。

転勤の準備も並べて考える

会社と相談した結果、転勤を受けることにした場合は、引っ越しや家族の準備を早めに始めると安心です。流れは転勤の辞令とは?で紹介しています。

段階2:求人票で勤務地・転勤の書き方を見る

ここでの結論

転勤の少ない会社を選びたいなら、求人票の「就業場所」と「変更の範囲」の書き方を見るのがいちばんの近道です。令和6年4月からは、この「変更の範囲」を示すルールができています。

転職しても、また同じように転勤の辞令が出たら意味がないですよね。そこで役に立つのが、求人票と労働条件通知書の書き方です。

「変更の範囲」とは何か

労働基準法施行規則が改正されました。令和6年4月1日以降に結ぶ労働契約では、就業場所と業務の「雇入れ直後」の内容に加えて、「変更の範囲」も書面で示すことになっています。

厚生労働省の説明では、「変更の範囲」とは将来の配置転換などによって変わりうる就業場所・業務の範囲のことです。募集の時にも、職業安定法施行規則の改正で、就業場所・業務の変更の範囲を示すことが加わりました。

書き方の4つのパターン

厚生労働省のパンフレットでは、記載例を4つのパターンで紹介しています。読み取り方を表にしてみました(勤務地名は伏せ字にしています)。

パターン書き方の例読み取れること
限定がない(雇入れ直後)○○営業所 (変更の範囲)会社の定める営業所どの営業所への転勤もありうる
一部に限定がある(雇入れ直後)○○ (変更の範囲)○○県内転勤はありうるが、範囲は県内まで
完全に限定(雇入れ直後)○○店 (変更の範囲)変更なし勤務地は変わらない
一時的に限定がある一定の期間だけ範囲を限る書き方いつまで限定か、その後どうなるかを確かめる

転勤の少ない働き方を探すなら、「変更なし」か、範囲が狭い求人に注目してみてください。

求人票の就業場所の変更の範囲の書き方ごとに、転勤がありうるかの読み取り方をくらべた図解
見落としやすい点

臨時の応援や出張、研修のように一時的に場所が変わるものは、「変更の範囲」には含まれません。また、在籍出向で出向先の勤務地が限定の範囲を超える場合は、その旨が示されることになっています。気になる時は面接で確かめておきましょう。

転勤・異動の少ない求人を見分けるヒント

「変更の範囲」のほかにも、求人票や会社の案内から読み取れることがあります。応募する前に、次の点を見ておくと安心です。

応募前に見ておきたいこと
  • 事業所が1か所だけか、複数の地域にあるか
  • 「勤務地限定」「転居を伴う転勤なし」などの働き方の区分があるか
  • 業務の「変更の範囲」も狭いか(異動の少なさの目安になる)
  • 正社員と、勤務地を限った正社員で条件がどう違うか

事業所が複数あっても、勤務地を限った区分で採用している会社もあります。逆に、拠点が少なくても業務の変更の範囲が広ければ、部署の異動はありえます。

『転勤だけじゃなく、部署の異動も少ないほうがいい』という方は、就業場所と業務の両方の欄を見てみてください。

テレワークの扱いも見る

テレワークが通常想定される働き方なら、就業場所(または変更の範囲)にテレワークを行う場所を含めて示すことになっています。在宅で働ける求人を探している方は、この欄も見てみてください。

面接で聞いておきたいこと

求人票だけで分からない時は、面接で聞いて大丈夫です。例えばこんな聞き方があります。

「求人票に変更の範囲として県内とありますが、実際に転居を伴う異動はどのくらいありますか」

「入社後の配属先は、どのように決まるのでしょうか」

聞きにくいと感じる方もいますよね。ただ、働き方の条件を確かめるのは、入社後のすれ違いを防ぐための大事な質問なんです。

採用の条件にも決まりがある

厚生労働省のモデル就業規則の解説には、採用についての注意も書かれています。合理的な理由なく「転居を伴う転勤に応じること」を採用の要件にするのは、間接差別として男女雇用機会均等法第7条で禁止されている、というものです。

段階3:ハローワークと転職エージェントを使い分ける

ここでの結論

相談先は、公的なハローワークと、民間の転職エージェントの2つが中心です。どちらも求職者は無料で使えるのが基本なので、勤務地の条件に合う求人を幅広く見るために、並べて使うのも一つの方法です。

『どこに相談すればいいの?』と迷いますよね。まずは2つの違いを表で見ておきましょう。

くらべる点ハローワーク転職エージェント
法律での位置づけ職業安定法で「無料で公共に奉仕する機関」とされている有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行う
求職者の費用無料求職者からは手数料を取らないのが原則
求人の探し方求人を自分で探し、窓口で相談もできる担当者と勤務地の条件をすり合わせながら探せる
主な業務・情報職業紹介、職業指導、雇用保険などの業務を行う紹介で就職した人の数や、そのうち離職した人の数などを情報提供する義務がある

最後の行は、職業安定法の第32条の16第3項の決まりです。転職エージェントを選ぶ時の手がかりにもなります。

許可を受けた事業者かを確かめる

職業安定法の第30条では、有料の職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が要ると定めています。許可・届出の事業所は、厚生労働省の人材サービス総合サイトで検索できます。

人材サービス総合サイト(厚生労働省)

相談する時に伝えたいこと

相談先では、勤務地の条件をはっきり伝えるほど、合う求人に出会いやすくなります。

相談前に準備しておくこと
  1. ゆずれない勤務地の条件を決める(変更なし、県内まで、転居なしなど)
  2. これまでの仕事の内容と、続けたい仕事・変えたい仕事を書き出す
  3. 転職したい時期の目安を、今の会社の退職の決まりから考える
  4. 聞きたいことをメモにして、相談の場で確かめる

辞令をきっかけに、今の会社で続ける道と、外の選択肢を並べてみる。それだけで、どちらを選んでも納得のいく決め方ができるようになります。勤務地の条件に合う求人がどれくらいあるか、まずは話を聞いてみるところから始めてみてください。

LHH転職エージェント(PR)

辞令をきっかけに働き方を見直すなら、転職エージェントに相談してみる

転勤や異動の辞令は、これからの働き方を考えるきっかけにもなります。今の会社で続ける道と並べて、勤務地や仕事内容の希望を伝えて求人を紹介してもらえる転職エージェントで、選択肢を確かめておくのも一つの方法です。

転職サポートLHH転職エージェントの公式サイトを見る

(転職エージェント「LHH転職エージェント」の公式サイトに移動します。サービスの内容・利用条件は公式サイトで最新の情報をご確認ください)

在職中に転職活動を進める時の流れと注意

ここでの結論

転職活動は、辞めてからではなく在職中に始めるのが安心です。退職の申し出は、内定が出てから、就業規則の期限に合わせて行います。

『辞令の着任日が迫っているのに、間に合うの?』と焦る方もいますよね。時間の流れで見ると、やることがはっきりします。

時期やること気をつけたいこと
内示・辞令が出た時今の会社で変えられることを確かめる内示の内容を周りに話さない決まりがないか確かめる
在職中の情報集め求人票の勤務地と変更の範囲を見る、相談先を選ぶ仕事の時間や会社のパソコンを使わない
応募・面接勤務地や配属の決まり方を面接で確かめる今の会社への退職の申し出はまだしない
内定が出た後退職の意思と時期を上司に伝える就業規則の退職願の期限を守る
退職まで引き継ぎをして、退職証明書などを受け取る新しい会社の入社日と退職日をそろえる

期間の定めのない雇用なら、民法第627条第1項で、退職の申入れから2週間で雇用が終わると定められています。ただ、円満に辞めるためにも、会社の就業規則の日数に合わせて早めに伝えるのがおすすめです。

よくある失敗

辞令が出た勢いで先に退職を伝えてしまい、次の仕事が決まらないまま退職日が来てしまうことがあります。気持ちが決まっていても、内定までは今の仕事を続けながら動きましょう。

内定が出て上司に伝える時は、例えばこんな言い方があります。

「このたびの辞令について考えた結果、家族の事情で転居を伴う働き方が難しく、退職させていただきたいと考えています。引き継ぎも含めて、退職日をご相談させてください」

辞める前の確認や、退職の進め方は辞令が出て会社を辞めるか迷ったらで順番に紹介しています。

辞令と転職でよくある疑問に答えます

ここでの結論

よく見かけるのは「異動の辞令で辞めるのは甘え?」「転勤の辞令で辞める人が多いのはなぜ?」「拠点がなくなり転勤か退職か選ぶことになった」の3つです。どれも、自分の暮らしを軸に考えて大丈夫です。

ネットのQ&Aでよく見かける相談を3つ、要約して紹介しますね。

疑問1:異動の辞令で辞めるのは、甘えなのかな

春から別の部署に移ることが決まり、その異動をきっかけに辞めたいと思っている、という相談です。

異動の辞令で辞めたいと思うのは、甘えではありません。仕事の中身が変わることは、働く人にとって大きな変化です。

ただ、新しい部署が合うかどうかは、行ってみないと分からない面もあります。今の気持ちを大事にしつつ、在職中に情報を集めて、くらべてから決めてみてください。

迷った時は、「異動先で身につくこと」と「転職先で叶えたいこと」を紙に並べて書いてみるのもおすすめです。どちらの道にも得られるものがあると分かると、自分で選んだと納得しやすくなります。

疑問2:地方への転勤の辞令で辞める人が多いのはなぜ?

転勤の辞令が出ると辞めてしまう人が多いのはなぜか、という質問です。

理由は人それぞれですが、引っ越しは住まい、家族、人づきあいまで一度に変わる出来事です。仕事そのものより、暮らしの変化が決め手になる人も多いはずです。

だからこそ、次の職場を選ぶ時は、求人票の「変更の範囲」で転勤の有無を確かめておくことが大切なんです。

疑問3:拠点がなくなり、転勤か退職かを選ぶことになった

地元採用で働いていた拠点が閉鎖になり、転勤か退職かを選ぶよう言われた、という相談です。

厚生労働省は、勤務地限定正社員の事業所が閉鎖される場合について説明しています。その場合でも直ちに解雇が有効になるわけではなく、配置転換などの解雇を避ける努力が求められる、という内容です。

自分の契約に勤務地の限定があったかどうかで、話が変わることがあります。労働条件通知書を確かめ、迷う時は都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談してみてください。

よくある質問

辞令をきっかけに転職するのは早すぎますか?

早すぎるということはありません。ただ、今の会社で時期や条件を相談できることもあるので、まず確かめてから決めると後悔が少なくなります。

転勤のない仕事はどうやって探せばいいですか?

求人票の就業場所と「変更の範囲」を見て、「変更なし」や範囲の狭い求人を探すのが近道です。分からない時は、面接で転居を伴う異動があるか聞いてみてください。

転職エージェントは無料で使えますか?

職業安定法で、有料職業紹介事業者は原則として求職者から手数料を取ってはいけないとされています。許可を受けた事業者かどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確かめられます。

ハローワークと転職エージェントは両方使ってもいいですか?

両方使っても問題ありません。それぞれ扱う求人や相談の形が違うので、並べて使うと勤務地の条件に合う求人を見つけやすくなります。

辞令の着任日までに転職先が決まらない時はどうすればいいですか?

先に退職を伝えず、いったん辞令に沿って働きながら転職活動を続ける道もあります。着任の時期を相談できないかも、上司や人事に聞いてみましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 辞令で転職を考える時は、今の会社で変えられること、求人票の見方、相談先の3段階で確かめる
  • 今の会社では、勤務地や職種の限定、時期の調整、子育て・介護の配慮を先に確かめる
  • 求人票の就業場所と「変更の範囲」で、転勤の有無や範囲を読み取れる
  • ハローワークと転職エージェントは、求職者は無料で使えるのが基本
  • 転職活動は在職中に進め、退職の申し出は内定の後に就業規則の期限に合わせる
辞令ドットコム

辞令ドットコム 編集部

辞令の意味や種類、辞令交付式での受け取り方、辞令書の書き方、異動・転勤の辞令が出た時の考え方を、法令と公的機関の情報をもとにわかりやすく整理している情報サイトです。 公式サイト

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