昇進・昇格の辞令|違いと、辞令を受けた時のお礼・挨拶

昇進の辞令と昇格の辞令の違いと、受けた時のお礼・挨拶を紹介する記事のアイキャッチ。机の上の書類ばさみと万年筆

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上司に呼ばれて「来月から課長をお願いします」と告げられた。うれしい反面、『昇進の辞令と昇格の辞令って何が違うの?お礼は何て言えばいい?』と、気になることが次々に出てきますよね。

結論から言うと、昇進は「役職が上がること」、昇格は「社内の等級が上がること」を指す場合が多いです。ただ、言葉の使い方は会社ごとに違うので、辞令の文面と就業規則で中身を確かめるのがいちばん確かです。

この記事を読めば、昇進辞令と昇格辞令の違い、辞令の文例、受けた時のお礼と挨拶の言い方が分かります。

目次

昇進の辞令と昇格の辞令は何が違う?

先に結論

昇進の辞令は「課長」「部長」などの役職につくことを命じる辞令です。昇格の辞令は、会社の人事制度にある等級(グレード)が上がることを知らせる辞令です。両方が同時に出ることもあれば、片方だけのこともあります。

『昇進と昇格って、同じ意味じゃないの?』と思う方も多いはずです。

実は、日常の会話ではほぼ同じ意味で使われがちですが、人事の世界では分けて使う会社が少なくないんです。ここでは、よく使われる意味でくらべてみますね。

昇進の辞令
  • 役職が上がる(係長から課長など)
  • 部下や任される仕事の範囲が変わる
  • 社内に向けて発表されることが多い
  • 文例は「営業課長を命ずる」など
昇格の辞令
  • 社内の等級が上がる(3等級から4等級など)
  • 役職や仕事は変わらないこともある
  • 本人にだけ知らされることもある
  • 文例は「○等級に昇格させる」など

会社によって言葉の使い方が違う

注意したいのは、昇進と昇格の使い分けが会社ごとにまちまちなことです。

例えば厚生労働省のモデル就業規則には、役付手当(部長・課長・係長の手当)について「昇格によるときは、発令日の属する賃金月から支給する」という規程例があります。ここでは、役職につくことも「昇格」と呼んでいるんです。

ですから、自分の会社で昇格辞令とは何を指すのかは、就業規則や人事制度の資料で確かめてみてください。

公務員の場合は「昇任」と呼ぶ

公務員は、役職が上がることを「昇任」と呼びます。国家公務員法では、昇任を「職員をその職員が現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命すること」と定めています。

国家公務員が昇任した時は、人事院規則8-12で、任命権者が人事異動通知書を交付することになっています。公務員の辞令の全体像は公務員の辞令とは?で紹介しています。

辞令そのものの意味から知りたい方は、辞令とは?意味と種類をわかりやすくもどうぞ。

辞令の言葉・給与・周りへの伝わり方で比べてみる

3つの角度で見ると違いがはっきりする

昇進と昇格の違いは、「辞令に書かれる言葉」「給与の変わり方」「周りへの伝わり方」の3つで比べると分かりやすくなります。自分が受けた辞令がどちらなのか、照らし合わせてみてください。

『結局、自分のはどっちなんだろう』と迷った時に使える、くらべ表を作りました。

昇進の辞令と昇格の辞令を、辞令に書かれる言葉・給与の変わり方・周りへの伝わり方の3つの角度で比べた図解
くらべる角度昇進の辞令昇格の辞令
辞令に書かれる言葉「○○課長を命ずる」「○○部長に任命する」「○等級に昇格させる」「○級に格付けする」
何が変わるか役職・部下・権限・仕事の範囲社内の等級・資格
給与の変わり方役職手当(役付手当)がつく・変わることが多い等級に合わせて基本給が変わることが多い
いつから変わるか辞令の発令日から会社の決まった時期(年1回など)が多い
周りへの伝わり方社内掲示や朝礼で発表されやすい本人への通知だけのこともある
挨拶が必要か部署や取引先への挨拶がほぼ必要挨拶の場がないことも多い

角度1:辞令に書かれる言葉

昇進の辞令は「命ずる」「任命する」のような、役職につくことを命じる言葉で書かれるのが一般的です。昇格の辞令は「昇格させる」「格付けする」のように、等級の変化を伝える言葉になります。

ただ、これも会社や役所ごとに違います。例えば札幌市の辞令書の規程では、昇任は「何々職に昇任する」、役職につく時は「何局(何部、何課、何係)長を命ずる」という文例になっています。

角度2:給与の変わり方

昇進の辞令では、役職手当がつく、または変わるのが一般的です。昇格の辞令では、等級に合わせて基本給の表が変わることが多いですよね。

どちらも、いくら変わるかは会社の賃金規程で決まります。労働基準法では、昇給に関する事項は就業規則に書かなければならない事項の一つとされているので、就業規則を見れば仕組みが分かるはずです。

給与の変わり方をくわしく確かめたい時は、給与辞令とは?で照らし合わせ方を紹介しています。

角度3:周りへの伝わり方

昇進は、部下や取引先にも関わるので、社内掲示や朝礼で発表されることが多いです。一方、昇格は本人の処遇の話なので、本人にだけ書面で知らせる会社もあります。

例えば札幌市の規程では、昇格や昇給の発令は辞令書の交付を省略でき、口頭などの方法で発令するとされています。昇格の辞令を紙でもらわなかった、ということもあり得るんです。

自分の辞令がどちらか確かめる
  • 辞令に役職名(課長・部長など)が書かれているか
  • 辞令に等級・級・グレードが書かれているか
  • 就業規則や人事制度の資料に「昇進」「昇格」の説明があるか
  • 役職手当と基本給のどちらが変わるか
  • 社内に発表されるかどうか

昇進の前に「内示」があることも

昇進の辞令の前に、上司から内々に知らされることがありますよね。これを内示といいます。

内示を出すかどうかも、会社や役所ごとの決まりです。例えば札幌市の規程では、昇任などの発令をする時は、必要に応じて書面か口頭で内示を行うとされています。

さらに同じ規程では、内示をした場合は辞令書の交付を省略でき、発令予定の日に内示書のとおり発令されたものとみなす、とされています。内示と辞令の関係は内示と辞令の違いでくわしく紹介しています。

昇進辞令・昇格辞令の文例と、任命の辞令の書き方

ここでの結論

昇進や昇格の辞令は、「だれに」「いつ付で」「何を命じるか」の3つが分かれば形になります。会社員の辞令書に法律で決まった様式はなく、会社ごとに書き方を決めています。

『昇進の辞令って、どんな文面なの?』と気になる方もいるはずです。人事担当として辞令を作る側の方にも役立つよう、よく使われる文例を並べてみました。

辞令に入る項目

一般的な昇進の辞令には、次の項目が入ります。

項目書き方の例
表題辞令
受ける人営業部 ○○ ○○ 殿
命じる内容営業部営業課長を命ずる
発令日令和○年○月○日
出す人株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○

種類ごとの文例

辞令の種類会社でよく見る文例公務員の文例(規程・通知の例)
役職につく(昇進)「営業課長を命ずる」「何局(何部、何課、何係)長を命ずる」(札幌市)
上の職に任命する「○○部長に任命する」「アに昇任させる」(人事院の通知の文例)
職に就かせる「○○部長に補する」「(職名)に補する」(徳島県教育委員会)
等級が上がる(昇格)「○等級に昇格させる」規程で辞令書の交付を省略できる例もある
役職を兼ねる「○○課長を兼ねて命ずる」「…長を兼ねて命ずる」(札幌市)

人事院の通知では、国の人事異動通知書の「異動内容」欄の文例として「アに昇任させる」が示されています。アには官職の名前と所属が入ります。

「任命する」「命ずる」「補する」の使い分けには、全国共通の決まりがあるわけではありません。会社の辞令なら、これまでの辞令の書き方にそろえるのがいちばん自然です。

辞令の書き方のくわしいルールは、辞令の書き方|「命ずる」「免ずる」の文例で紹介しています。

任命の辞令の「任命」って何?

任命辞令の「任命」は、ある役目や職につくよう命じることです。辞令任命の書き方では「○○に任命する」と書き、昇進の辞令でも、委員やプロジェクトの責任者を任せる辞令でも使われます。

人事担当が昇進の辞令を出す前に確かめたいこと

辞令を作る側の方は、出す前に次の点を見直しておくと、あとで問い合わせが減ります。

昇進・昇格の辞令を出す前のチェック
  • 役職名と所属部署の名前が、社内の正式な名前と合っている
  • 発令日が、役付手当や基本給の切り替え時期と合っている
  • 昇進と昇格のどちらか、または両方かが文面で分かる
  • 社内掲示や通知のタイミングを決めてある
  • 本人への伝え方(手渡し・メール・口頭)を決めてある

特に発令日は、給与の切り替えにも関わります。モデル就業規則の規程例のように、手当をいつから払うかを発令日で決めている会社もあるので、賃金規程と見くらべてから決めてみてください。

役員の辞令は、社員の昇進辞令とどう違う?

ここでの結論

部長から取締役になるような役員への就任は、社員の昇進とは別の手続きで決まるのが一般的です。役員の辞令が出るかどうか、どんな文面になるかは会社によって違います。

『役員になる時も、昇進の辞令が出るの?』と思う方もいますよね。

社員としての昇進は、会社の人事の決定で行われます。一方、役員への就任は、会社の機関の決定を経て決まるのが一般的で、社員の人事異動とは手続きが分かれています。

役員辞令でよく見るパターン

パターン中身確かめたいこと
役員だけになる社員としての立場を離れて役員に就く社員としての退職の扱い
社員のまま役員の肩書がつく「執行役員」など会社独自の役職につく役職の位置づけと処遇の変わり方
社員と役員を兼ねる社員としての仕事を続けながら役員にも就く2つの立場それぞれの条件

「執行役員」のように、名前に役員とついていても、会社によっては社員の役職の一つとして扱われることもあります。辞令役員の中身は、会社の規程を見ないと分からないことが多いんです。

役員の辞令を受けた時は、社員としての立場や処遇がどう変わるのかを、総務や人事の担当に確かめてみてください。

役員の辞令の文例

役員の辞令では「取締役に選任する」「執行役員を委嘱する」のような言葉が使われることがあります。札幌市の規程にも、辞令の文例として「何々に選任する」「何々に(を)委嘱する」があります。

昇進の辞令を受けた時のお礼と挨拶

ここでの結論

昇進や昇格の辞令を受けたら、まず辞令を伝えてくれた上司にお礼を伝えます。そのうえで、部署のメンバー・関係部署・取引先の順に挨拶すると、周りも新しい体制に慣れやすくなります。

『うれしいけど、どんな顔でお礼を言えばいいんだろう』と迷いますよね。昇進の辞令を受けた後の流れを、順番に並べてみました。

昇進の辞令を受けてから、上司へのお礼、部署への挨拶、関係部署と取引先への連絡、着任までの順番を示した図解
昇進の辞令を受けた後の流れ
  1. 辞令を伝えてくれた上司に、その場でお礼を伝える
  2. 辞令の中身(発令日・役職名・担当範囲)を確かめる
  3. 部署のメンバーに、新しい役職と抱負を伝える
  4. 関係部署と取引先に、社内で発表された後に連絡する
  5. 発令日から新しい役職の仕事を始める

上司へのお礼の言い方

上司へのお礼は、短くていいので、その場で伝えるのがいちばんです。

「このたびは課長への昇進の辞令をいただき、ありがとうございます。期待に応えられるよう精一杯努めます。」

あとで改めて、これまでの指導へのお礼を添えてもいいですね。

「ここまで来られたのは、部長にご指導いただいたおかげです。これからもご相談させてください。」

部署のメンバーへの挨拶

部署のメンバーへの挨拶では、感謝とこれからの方針をひと言ずつ入れると、聞く側も安心できます。

「○月○日付で課長を拝命しました。これまで支えてくださった皆さんに感謝しています。」

「まずは皆さんの話をよく聞くところから始めます。よろしくお願いします。」

昇格の辞令で役職が変わらない時は、全体への挨拶はいらないこともあります。上司にお礼を伝えれば十分なことが多いので、会社の慣行に合わせてみてください。

よくある失敗

社内で発表される前に、取引先や他部署の人へ昇進の話をしてしまうことがあります。いつから伝えてよいかは、上司か人事の担当に確かめてからにしましょう。

挨拶やお礼メールの例文は、辞令を受けた時の挨拶・返事で場面ごとに紹介しています。

昇進をきっかけに、これからを考える人へ

昇進の辞令は、自分の働き方を見つめ直すきっかけにもなりますよね。新しい役職で力を試すのは、もちろん大切な選択です。

そのうえで、今の会社で続ける道と並べて外の選択肢も確かめておくと、これからのキャリアを考える材料が増えます。役職が上がった今だからこそ、自分の市場での立ち位置を知っておくのも一つの方法です。

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昇進の辞令でよくある疑問に答えます

ここでの結論

知恵袋などでよく見かけるのは「辞める命令でもないのに、なぜ辞令?」「打診もなく突然昇進の辞令が出た」「昇進の辞令を断ってしまった」の3つです。どれも、辞令の意味と社内の手続きを知ると落ち着いて考えられます。

昇進の辞令について、ネットのQ&Aでよく見かける質問を3つ取り上げます。質問は要約して紹介しますね。

疑問1:「辞令」は辞める命令ではないの?なぜ昇進でも辞令?

「辞」という字から、辞令を辞める命令だと思っていた、という質問です。

実は、辞令の「辞」は「辞める」ではなく「言葉」の意味なんです。辞書でも、辞令には「官職・役職などの任免の際、その旨を書いて本人に渡す文書」という意味があります(デジタル大辞泉)。

ですから、採用・昇進・異動・退職など、立場が変わる時はどれも辞令と呼びます。言葉の成り立ちは辞令の読み方・語源でくわしく紹介しています。

疑問2:打診もなく、突然昇進の辞令が出た。普通なの?

事前の打診がないまま、突然昇進の辞令が出て驚いた、という相談です。

結論から言うと、昇進の前に本人へ打診するかどうかは、会社ごとに違います。法律で打診が決まっているわけではないので、内示や打診なしで辞令が出る会社もあります。

驚いた気持ちはそのままでかまいません。そのうえで、新しい役職で任される範囲や、引き継ぎの時期を上司に確かめてみてください。

「辞令、ありがとうございます。正直驚いていますが、任されたことに全力で取り組みます。まず、担当の範囲を教えていただけますか?」

このように伝えると、気持ちを正直に話しつつ、前向きな姿勢も伝わります。

疑問3:昇進の辞令を断ってしまった。どう考えればいい?

条件が納得できず、昇進の辞令を断ってしまったという相談です。

昇進の辞令を断れるかどうかは、就業規則や労働契約の中身によって変わります。断った後に気持ちが揺れている時は、まず理由を整えて、上司ともう一度話す時間をもらうのがいいですね。

条件に納得できない点があるなら、何が引っかかっているのかを具体的に伝えてみてください。辞令を断る時の考え方は、辞令は拒否できる?でくわしく紹介しています。

昇進の辞令に迷った時に確かめたいこと
  • 新しい役職で任される仕事の範囲
  • 役職手当や基本給の変わり方
  • 就業規則の昇進・異動の決まり
  • 迷っている理由を、具体的な言葉にできるか

よくある質問

昇進の辞令と昇格の辞令は同時に出ますか?

同時に出ることもあれば、別々に出ることもあります。役職が上がると等級も上がる会社もあれば、等級だけ上がって役職は変わらない会社もあります。辞令の文面と就業規則で確かめてみてください。

昇進の辞令はいつから効力がありますか?

辞令に書かれた発令日から、新しい役職になるのが一般的です。発令日の意味や、休日が発令日の時の扱いは会社の決まりによります。

昇格の辞令をもらっていないのに、等級が上がっていました。

昇格の知らせ方は会社ごとに違い、辞令書を出さずに給与明細や通知で知らせる会社もあります。気になる時は、人事の担当に昇格の通知の仕方を聞いてみてください。

昇進の辞令を受けたことを、家族や社外の友人に話してもいいですか?

家族に話すのは問題ないことが多いですが、社内で発表される前は外に広めないほうが安心です。取引先などへの連絡は、社内の発表を待ってからにしてみてください。

役職の辞令を受けたら、名刺はすぐ変えたほうがいいですか?

発令日から新しい役職になるので、名刺も発令日に合わせて切り替えるのが一般的です。作り直しの手続きは、総務の担当に確かめておくと安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 昇進は役職が上がること、昇格は社内の等級が上がることを指す場合が多い
  • ただし言葉の使い方は会社ごとに違うので、辞令の文面と就業規則で確かめる
  • 辞令の言葉・給与の変わり方・周りへの伝わり方で比べると違いがはっきりする
  • 役員への就任は、社員の昇進とは別の手続きで決まるのが一般的
  • 辞令を受けたら上司にお礼を伝え、部署・関係部署・取引先の順に挨拶する
辞令ドットコム

辞令ドットコム 編集部

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