公務員の辞令とは?人事異動通知書・辞令書と、採用から退職までの辞令

公務員の辞令と人事異動通知書・辞令書、採用から退職までの辞令を紹介する記事のアイキャッチ。式典会場の椅子の列と書類ばさみ

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4月から公務員として働くことが決まった方や、初めての異動を控えた方は、『公務員の辞令って、会社の辞令と何が違うの?』と気になりますよね。

結論から言うと、公務員の辞令は法律や規則にもとづいて交付される書類で、国家公務員では「人事異動通知書」、地方公務員では各自治体の「辞令書」がそれにあたります。採用から退職まで、節目ごとに決まった書き方の辞令が出るんです。

この記事を読めば、公務員の辞令の種類と、採用・昇任・休職・退職の4場面で何が書かれるかが分かります。

目次

公務員の辞令とは?先に結論

先に結論

国家公務員の辞令は、人事院規則8-12(職員の任免)で交付が決まっている「人事異動通知書」です。地方公務員の辞令は、それぞれの自治体の規則や規程で交付のしかたが決まっています。どちらも、誰を・いつ付けで・どの職に就けるかを本人に知らせる書類です。

会社員の辞令は、法律に決まった形がありません。一方で公務員の辞令は、規則や規程で「どんな時に出すか」「どう書くか」まで決まっているのが大きな違いなんです。

辞令という言葉そのものの意味は、辞令とは?意味をわかりやすくで紹介しています。

国家公務員と地方公務員の辞令をくらべる

くらべる点国家公務員地方公務員
書類の名前人事異動通知書辞令書(自治体によっては人事異動通知書)
交付のルール人事院規則8-12 第53条〜第56条自治体の規則・規程(訓令)
様式A4。氏名・現官職・異動内容・年月日と任命権者の欄自治体ごとの様式
文末の言い方の例〜に採用する、〜に転任させる〜に任命する、〜勤務を命ずる、〜に補する

国家公務員の人事異動通知書

人事院規則8-12の第53条では、任命権者は、職員を採用・昇任・転任・配置換した場合などに、人事異動通知書を交付しなければならないとしています。

対象になる場面は、併任やその解除、復職、辞職の承認、退職など、全部で11の号に分かれています。人事の節目のほとんどで、通知書が出ると考えてよさそうです。

様式は人事院事務総長の通知で決まっていて、どちらもA4です。「日付及び任命権者」の欄には、異動を発令した年月日か、異動が発生した年月日(発令日)を書きます。

地方公務員の辞令書

地方公務員の辞令は、自治体ごとの規則や規程で決まっています。例えば札幌市の規程では、第2条で「職員の発令は、辞令書の交付により行うものとする」としています。

福岡市の規程では、異動する職員ごとに辞令書を作って交付し、辞令書には別表の人事異動用語を使うとしています。言葉の使い方まで、自治体ごとに決めているんですね。

辞令書そのものの形や紙の考え方は、辞令書とは?辞令用紙のサイズ・紙と、人事異動通知書との違いで紹介しています。

公務員の辞令に出てくる言葉の意味

ここでの結論

公務員の辞令には、採用・昇任・降任・転任・配置換・併任など、法律や規則で意味が決まった言葉が出てきます。「命ずる」「補する」「免ずる」「解く」は、自治体の辞令でよく使われる言い回しです。

『辞令に「補する」って書いてあったけど、どういう意味?』と首をかしげた方も多いはずです。まずは、任用の言葉から見ていきましょう。

任用の言葉は法律で決まっている

言葉意味(法律・規則の定義をかみくだいて)定めているところ
採用職員でない人を、職員の職に任命すること国家公務員法34条・地方公務員法15条の2
昇任今より上の職制上の段階の職に任命すること同上
降任今より下の職制上の段階の職に任命すること同上
転任昇任・降任にあたらない、今と別の職への任命同上
配置換任命権者と段階が同じ、別の官職への任命人事院規則8-12 第4条
併任今の官職を持ったまま、別の官職にも任命すること人事院規則8-12 第4条

『転任と配置換って、どっちも異動じゃないの?』と思いますよね。

国家公務員の場合、配置換は任命権者が同じで、部局や職制上の段階も同じ官職への異動です。それにあたらない別の官職への異動が、転任になります。

「命ずる」「補する」「免ずる」「解く」

公務員の辞令に出てくる任命する・補する・命ずる・解く・免ずるの5つの言い回しと、使われる場面を並べた図解

「補する」は、ある職に人をあてる時の言葉です。法律にも用例があり、裁判所法47条は「下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する」としています。

福岡市の人事異動用語では、補職を「職務の遂行上特に必要とされる職に任命すること」、解職を「補職を解くこと」と定めています。

言い回し使われ方の例出てくる辞令の例
任命する職員としての身分を与える札幌市事務職員に任命する
補する特定の職にあてる(職名)に補する
命ずる勤務する場所や役目を命じる何局何部勤務を命ずる
解く兼務や事務取扱をやめる何々兼務を解く
免ずる職を離れさせる甲により本職を免ずる

徳島県教育委員会の文例では、採用の時に「〜に任命する」と「(職名)に補する」を組み合わせて書いています。身分を与える言葉と、どの職に就くかを示す言葉が、別々になっているんです。

国の通知書には「命ずる」が出てこない

国家公務員の人事異動通知書の文例は「〜に採用する」「〜に昇任させる」「〜に転任させる」のような書き方で、「補する」「命ずる」「免ずる」は出てきません。言い回しは、国と自治体でかなり違います。

採用から退職まで、4つの場面で見る公務員の辞令

ここでの結論

公務員の辞令は「採用」「昇任・転任」「休職・復職」「退職」の4場面で考えると全体がつかみやすくなります。国と自治体で、同じ場面でも書き方が違います。

ここからは、公務員として働く間に受け取る辞令を、時間の流れに沿って並べてみます。

公務員の辞令を採用・昇任と転任・休職と復職・退職の4つの場面で、国家公務員と地方公務員の書き方を並べた図解
場面国家公務員(人事異動通知書の文例)地方公務員(札幌市の文例)
採用アに採用する札幌市事務(技術)職員に任命する
昇任アに昇任させる何々職に昇任する
転任・配置換アに転任させる/アに配置換する何局何部(何課)勤務を命ずる
休職イにより休職にする。休職の期間は 年 月 日までとする甲により休職を命ずる 休職期間は 年 月 日までとする
復職アに復職させる復職を命ずる
辞職辞職を承認する願により退職を承認する

表の「ア」は官職の名前と所属部課、「イ」「甲」は根拠になる法令の条項を入れる場所です。

場面1:採用の辞令

採用の辞令は、公務員としての最初の辞令です。札幌市の文例では、「事務職員に任命する」に続けて「職給料表 級に決定する」「号俸を給する」と、給料表の級と号俸も書くことになっています。

多くの自治体では、4月1日に新規採用職員の辞令交付式を開いています。例えば舞鶴市は、令和8年4月1日に新規採用職員と人事異動の辞令交付式を開いたと発表しています。

交付式の流れは、辞令交付式とは?流れ・式次第と、公務員・教員の交付式で紹介しています。

教員の採用の辞令

公立学校の先生も、教育委員会から辞令を受け取ります。徳島県教育委員会の文例では、「徳島県公立学校長(副校長、教頭、教員)に任命する」と書き、続けて「徳島県立何学校長(教諭)に補する」と書く形です。

福岡県教育委員会は、令和8年4月1日に県立学校の新規採用教育職員の辞令交付式を開くと発表しました。式次第は、開式の辞・国歌斉唱・辞令交付・宣誓・教育長挨拶・閉式の辞の順です。

千葉県教育委員会の教育長のコラムでは、新規採用教職員一人一人に教育長から辞令を手渡していて、辞令にはどの学校に配置されるかが書いてある、と紹介しています。

場面2:昇任・転任の辞令

昇任や転任の辞令は、毎年の人事異動の時に出ます。国家公務員なら「〜に昇任させる」「〜に転任させる」、札幌市なら「何々職に昇任する」「何局何部勤務を命ずる」という書き方です。

ほかの機関へ出向する時も辞令が出ます。国の文例では「ウに出向させる」、札幌市では「何々に出向を命ずる」です。

兼務・併任の辞令

今の職を持ったまま、別の職も受け持つ時の辞令もあります。国家公務員では「アに併任する」、やめる時は「アの併任を解除する」と書きます。

自治体では、札幌市の「何部(何課)兼務を命ずる」「何々兼務を解く」、鳥取県の「……を兼ねて命ずる」のような書き方があります。兼務の辞令の書き方は、兼務辞令とは?で紹介しています。

場面3:休職・復職の辞令

休職は、本人の生活に大きく関わる処分です。人事院規則8-12の第54条では、降任・休職・免職の3つは「通知書を交付して行わなければならない」と書き分けています。

国家公務員法80条では、休職者は職員の身分を持ったまま職務に従事しないとしています。休職の事由がなくなった時は、速やかに復職を命じなければなりません。

休職・復職の辞令で確かめたいこと
  • 休職の期間がいつまでと書かれているか
  • 根拠になる法令の条項が書かれているか
  • 復職の辞令で、どの職に復職するか
  • 分からない点を聞ける人事の担当者は誰か

降任や懲戒の辞令

降任や懲戒も、辞令で本人に知らされます。国家公務員法75条では、法律か人事院規則で定める事由による場合でなければ、本人の意に反して降任・休職・免職されないとしています。

懲戒の種類は、国家公務員法82条で免職・停職・減給・戒告の4つです。札幌市の文例では、戒告は「甲により戒告する」と書きます。

辞令を受けて分からない点があれば、まず書かれた根拠の条項を確かめ、所属の人事担当に説明を求めてみてください。

場面4:退職の辞令

退職の時も辞令が出ます。国家公務員では、辞職は「辞職を承認する」、その他の退職は「退職した」、任期満了は「任期の満了により 年 月 日限り退職した」と書きます。

人事院の通知では、退職手当を支給するかどうかも、この通知書で知らせることになっています。

定年は段階的に引き上げられている途中です。国家公務員の場合、令和7年度と令和8年度の定年は62歳で、令和13年度に65歳になります。

退職辞令や、会社の退職証明書との違いは、退職辞令とは?でくわしく紹介しています。

公務員の辞令はいつ・どう渡される?

ここでの結論

公務員の辞令は、交付式で手渡されることもあれば、所属の課長から配られたり、紙を省いたりすることもあります。紙を省ける場面も、国の規則や自治体の規程で決まっています。

『辞令って、全員が式で受け取るものだと思っていた』という方もいるかもしれません。実は、受け取り方はいろいろなんです。

交付式で受け取る場合と、課長から配られる場合

高知市の庁議の資料(令和4年3月22日)では、4月1日付けの人事異動について、課長級以上と国などへの派遣職員を対象に交付式を開くとしています。その他の職員には、異動元の課長から辞令書を配るという説明です。

山口市の報道資料(令和7年3月31日)でも、幹部職員の辞令交付式は課長級以上に辞令を交付し、新規採用職員の交付式は全員に辞令を交付するとしています。

受け取り方どんな人が多いか例
交付式で手渡し新規採用職員、幹部職員山口市・舞鶴市・高知市の交付式
所属の課長から配付交付式の対象外の職員高知市の4月1日付け異動
紙を省く(口頭など)課の中の配置換、組織の変更など人事院規則8-12 第55条、札幌市の規程

紙の辞令を省ける場面

人事院規則8-12の第55条では、課の中での配置換や、法令の改廃で組織が変わる時の転任などは、「通知書に代わる文書の交付その他適当な方法」で代えられるとしています。

札幌市の規程の第5条でも、内示をした場合や、勤務・兼務の発令などは辞令書の交付を省けるとしています。内示をして省いた場合は、予定の日に、内示書のとおり発令されたものとみなす、という決まりです。

本人の所在が分からない時

第54条の通知書は、本人の所在が分からない場合、内容を官報に載せることで交付に代えられます。載せた日から2週間が過ぎた時に、交付があったものとみなされます。

自治体にも似た決まりがあります。堺市の分限・懲戒の辞令書は、職員に直接渡すのが原則で、難しい時は配達証明郵便などの確実な方法で送るとしています。

よくある勘違い

「辞令をもらっていないから、まだ異動していない」とは限りません。紙を省ける場面が規程で決まっているので、気になる時は所属の人事担当に発令日を確かめておきましょう。

発令日と交付日の違いは、辞令と発令の違いで紹介しています。

内示から辞令までの流れ

ここでの結論

公務員の人事異動では、辞令の前に「内示」があることが多いです。札幌市の規程のように、内示を書面か口頭で行うと決めている自治体もあります。

札幌市の規程の第4条では、昇任・勤務・兼務・解職・派遣の発令をする時は、必要に応じて内示書にもとづき「書面又は口頭により内示を行う」としています。

公務員の人事異動で、内示から辞令の受け取り、着任までの順番を示した図解
異動の内示から着任までの流れ
  1. 内示を受け、異動先と発令日を確かめる
  2. 今の仕事の引き継ぎの準備を始める
  3. 発令日に辞令を受け取る(交付式・課長から配付・省略の場合あり)
  4. 異動先に着任し、あいさつをする

「内示が出たら、もう周りに話してもいいんでしょうか?」
「発表までは口外しないよう言われることが多いので、所属のルールを確かめておくと安心ですよ」

内示と辞令の違いは、内示と辞令の違いで紹介しています。

公務員の辞令でよくある疑問

知恵袋で多い質問に答えます

公務員の辞令について、よく読まれている質問を選んで答えます。

辞令交付式って何をするの?最初から仕事はするの?

「公務員の辞令交付式って何をやるんですか?」という質問は、とても多く読まれています。

新規採用職員の交付式では、辞令の交付のほかに、服務の宣誓や首長の訓辞があることが多いです。山口市の新規採用職員の交付式は、辞令交付・服務の宣誓・市長訓辞という流れでした。

式のあとは、配属先に移って説明や研修を受ける流れが一般的です。何をするかは自治体ごとに違うので、届いた案内を見てみてください。

4月1日の辞令交付は午前中?

「4月1日に辞令交付があると思うが、午前中?どのくらいかかる?」という質問もありました。

時間は自治体ごとに違います。山口市は幹部職員の式が9時から、新規採用職員の式が10時15分からでした。舞鶴市は新規採用職員の式が10時からです。

集合時間や持ち物は、事前に届く案内に書かれていることが多いですよ。服装が気になる方は、辞令交付式の服装も読んでみてください。

交付式で名前を呼ばれる順番は?

「入庁式の辞令交付で、呼ばれる順番はどう決まる?」という質問も多く読まれています。

呼ばれる順番を決めた公的な決まりは、確認できませんでした。配属先の順や名簿の順など、自治体ごとの運営で決まっていると考えておきましょう。

辞令の「○○号給」って何?

採用の辞令にある号給や号俸は、給料表の中のどの位置にあたるかを示すものです。札幌市の文例でも、「職給料表 級に決定する」「号俸を給する」と、級と号俸を並べて書いています。

公務員の辞令は、節目ごとに自分の立場を確かめられる大事な記録です。中には、異動をきっかけに民間で働く道も考えてみたい、という方もいますよね。今の職場で続けることも大事な選択肢なので、外の求人と並べて比べてみると、自分に合う道が見えやすくなります。

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よくある質問

公務員の辞令とは何ですか?

採用・昇任・転任・休職・退職などの人事を本人に知らせる書類です。国家公務員では人事院規則8-12にもとづく人事異動通知書、地方公務員では各自治体の規程にもとづく辞令書がそれにあたります。

人事異動通知書と辞令書は同じものですか?

どちらも人事の中身を本人に知らせる書類で、役目は同じです。国家公務員は人事異動通知書という名前で様式が決まっていて、地方公務員は自治体ごとに名前や様式が違います。

「補する」とはどういう意味ですか?

特定の職に人をあてることです。福岡市の人事異動用語では、補職を職務の遂行上特に必要とされる職に任命すること、と定めています。

公務員の辞令はいつも紙で渡されますか?

いつも紙とは限りません。人事院規則8-12の第55条や自治体の規程で、課の中の配置換などは紙の交付を省いたり、別の方法で代えたりできるとしています。

公務員の辞令はなくしても再発行できますか?

辞令の再交付を定めた規定例は確認できませんでした。必要な時は所属の人事担当に相談し、在職証明などの代わりの書類で足りるかも聞いてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 公務員の辞令は、国家公務員の人事異動通知書と、地方公務員の辞令書の2つに分かれる
  • 採用・昇任・転任・休職・退職などの節目ごとに、決まった書き方の辞令が出る
  • 「補する」は特定の職にあてる、「解く」は兼務などをやめる時の言葉
  • 交付式で受け取るだけでなく、課長からの配付や紙の省略もある
辞令ドットコム

辞令ドットコム 編集部

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