辞令の書き方|「命ずる」「免ずる」の文例と、日付・印鑑・敬称のルール

辞令の書き方と文例、日付・印鑑・敬称のルールを紹介する記事のアイキャッチ。机の上の白い書類と万年筆

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来月の異動に合わせて辞令を作ることになったものの、前任者のファイルが見つからない。そんな時に『辞令の書き方って、決まった型があるの?』と手が止まりますよね。

結論から言うと、辞令の書き方に法律で決まった型はなく、日付・氏名・発令内容・発令者の4つがそろえば形になります。あとは文末を「命ずる」「免ずる」「補する」「解く」のどれにするかで、ほとんどの辞令が書けるんです。

この記事を読めば、辞令書の書き方の基本と、そのまま写せる例文、印鑑や敬称で迷った時の考え方が分かります。

目次

辞令の書き方は?まず押さえたい4つの項目

先に結論

辞令に入れる項目は「発令日」「受け取る人の氏名」「発令内容」「発令者」の4つが基本です。会社員の辞令は法律で定義されたものではないので、項目の細かい並べ方は就業規則や社内の前例で決まります。

『そもそも辞令って、法律で書き方が決まっているの?』と気になる方も多いはずです。

実は、労働基準法や労働契約法の本文には「辞令」という言葉そのものが出てきません。会社の辞令は、就業規則や慣行にもとづいて会社ごとに作る書類なんです。

一方で、国家公務員の辞令にあたる「人事異動通知書」は、人事院の通知で様式が決まっています。欄は「氏名」「現官職」「異動内容」「年月日と任命権者」の4つで、用紙はA4です。

会社の辞令を作る時も、この4つの並びを下敷きにすると迷いにくくなります。

項目書く内容書き方の例
氏名辞令を受け取る人のフルネーム○○ ○○
現在の所属今の部署・役職(会社によっては省く)営業部 営業一課
発令内容何を命じるかを1行ずつ総務部勤務を命ずる
発令日と発令者効力が始まる日と、命じる人令和○年○月○日 株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○

辞令書の書き方は「上から順に」が基本

辞令書の書き方は、上から「辞令」の表題、氏名、発令内容、日付、発令者の順に並べる形がよく使われます。表題の「辞令」は、用紙の上の中央に大きめに置きます。

氏名は表題の下の左寄りに、発令内容はその下に1行ずつ書きます。日付と発令者は、本文の下にまとめて置くと読みやすくなりますよ。

雛形がほしい人へ

項目を並べた雛形は、辞令のテンプレート・書式で種類別に紹介しています。辞令用紙のサイズや紙の選び方は辞令書とは?をどうぞ。

辞令の文末は4つの言葉で決まる:命ずる・免ずる・補する・解く

ここでの結論

辞令の文末は、新しく役目に就ける「命ずる」、職から外す「免ずる」、公務員を特定の職に充てる「補する」、兼務や役職を外す「解く」の4つで組み立てられます。1枚の辞令に、外す言葉と就ける言葉を並べて書くこともできます。

辞令の文章が独特なのは、文末の言葉が決まっているからですよね。ここが分かると、どんな辞令もすらすら書けるようになります。

辞令の文末に使う4つの言葉「命ずる」「免ずる」「補する」「解く」の意味と使う場面を並べた図解
文末の言葉意味よく使う場面例文
命ずる新しい役目・勤務先に就ける異動・昇格・兼務・出向営業部長を命ずる
免ずる今の職から外す職を解いて退かせる時本職を免ずる
補する公務員を特定の職に充てる公務員・教員の配属○○課長に補する
解く兼務・役職・派遣を外す兼務の終了・役職の解任○○兼務を解く

命ずる:いちばん使う言葉

会社の辞令で最も多いのが「命ずる」です。札幌市の規程の文例にも「何局何部(何課)勤務を命ずる」「何々に出向を命ずる」のような形が並んでいます。

厚生労働省のモデル就業規則も、人事異動の規定で「就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある」と書いています。会社の辞令に「命ずる」が多いのは、この流れに沿っているからなんです。

なお、福岡市の規程は、一部の項目で「命ずる」を「命じる」に改めています。どちらを使うかは社内でそろえておけば十分です。

免ずる:職から外す時

「免ずる」は、今の職から外す時の言葉です。札幌市の文例では、分限免職の辞令が「(根拠の条項)により本職を免ずる」となっています。

会社では、役職を外す時に「営業課長を免ずる」と書く例もあります。ただ、受け取る人にとっては重い響きの言葉です。役職を外すだけなら、次の「解く」を使う会社もあります。

補する:公務員の辞令で見る言葉

「補する」は、公務員の辞令でよく見る言葉です。裁判所法の第47条には「下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する。」とあります。

徳島県教育委員会の文例では「(職名)に任命する」の後に「(課等の名称 役職名)に補する」と続けます。身分を与える「任命」と、具体的な職に充てる「補する」を2行に分けて書く形ですね。

会社の辞令で「補する」を使うことは多くありません。社内の前例に無ければ「命ずる」で書けば十分です。

解く:兼務や役職を外す時

「解く」は、兼務・役職・派遣を外す時の言葉です。札幌市の文例には「何々兼務を解く」「何々事務取扱を解く」「への派遣を解く」が並んでいます。

外す言葉と就ける言葉を組み合わせる

異動の辞令は、今の役目を外して新しい役目に就けることが多いですよね。その時は、外す行と就ける行を上下に並べます。

組み合わせの順番
  1. 1行目に、外す内容を「解く」「免ずる」で書く
  2. 2行目に、新しく就ける内容を「命ずる」で書く
  3. 兼務を加える時は、3行目に「兼務を命ずる」を足す
  4. 最後に、発令日と発令者を書く

例えば、課長から部長に上がる時はこう書きます。

「営業一課長を解く」
「営業部長を命ずる」

外す行を先に置くと、何がどう変わったかが上から読んで分かります。

辞令の例文・文例集:異動・昇格・兼務・入社・退職

ここでの結論

辞令の例文は「どこに・何として」を前に、「命ずる」などの文末を後ろに置く形が基本です。種類ごとの文例を写し、自社の部署名と役職名に置き換えて使ってみてください。

『自分の会社の場合、どう書けばいいの?』という方のために、よく使う辞令の文例を種類ごとにまとめました。氏名・日付・部署はすべて伏せ字にしています。

異動の辞令の例文

いちばん多いのが、部署を移る異動の辞令です。

場面例文
部署の異動総務部勤務を命ずる
勤務地が変わる転勤大阪支店勤務を命ずる
課の中での担当替え営業一課 第二係勤務を命ずる
出向株式会社○○への出向を命ずる

出向の辞令を書く時は、出向先・期間・出向中の扱いを就業規則や出向規程と照らしておきましょう。厚生労働省のモデル就業規則の解説でも、出向が想定される場合は出向の規定を設けておく必要があるとしています。

昇格辞令の例文

昇格辞令の例文は、役職名か等級を「命ずる」で示す形が一般的です。

昇格辞令の文例
  • 営業部 営業一課長を命ずる
  • 主任を命ずる
  • ○等級に昇格させる
  • 営業一課長を解く 営業部長を命ずる(課長から部長に上がる時)

国の人事異動通知書では、昇任の文例は「(官職と所属)に昇任させる」です。会社でも「昇格させる」「昇進させる」と書く例があり、どちらを使うかは社内の前例にそろえれば大丈夫です。

昇格と昇進の違いや、辞令を受けた時のお礼は昇進・昇格の辞令で紹介しています。

兼務辞令の書き方

兼務の辞令の書き方は、今の役目はそのままに「兼ねて」「兼務を」と書き足す形です。

場面例文
兼務を加える総務部 人事課兼務を命ずる
役職を兼ねる営業一課長を兼ねて命ずる
兼務を解く総務部 人事課兼務を解く
兼務を解いて別の兼務人事課兼務を解く 経理課兼務を命ずる

札幌市の文例でも「何部(何課)兼務を命ずる」「…長を兼ねて命ずる」と、兼務を解く時の「何々兼務を解く」が並んでいます。

兼務辞令の書き方で迷いやすいのは、元の所属を書くかどうかです。元の所属は変わらないので、本文には兼務する部署だけを書き、氏名の上か横に今の所属を添えると分かりやすくなります。

兼務の働き方そのものは、兼務辞令とは?でくわしく紹介しています。

入社・採用の辞令の例文

入社の時は、採用と配属を2行に分けて書く例が多く見られます。

「社員に採用する」
「営業部勤務を命ずる」

札幌市の採用の文例は「札幌市事務(技術)職員に任命する」です。身分を与える行と、配属を示す行を分けておくと、後で配属だけ変わった時も書き換えやすくなります。

降格・役職を外す時の文例

降格や役職の解任は、受け取る人にとって大事な知らせです。事実だけを短く書きましょう。

「営業一課長を解く」
「営業一課勤務を命ずる」

降格の理由や処分の内容を辞令に書き込むかどうかは、会社によって違います。就業規則の定めにそって、本人への説明は辞令とは別に行う会社もあります。降格の種類は降格・役職解任の辞令とは?をどうぞ。

退職の辞令の文例

退職の時の辞令は、退職を認める形で書きます。国の人事異動通知書の文例は「辞職を承認する」、札幌市の文例は「願により退職を承認する」です。

会社の場合は「願により退職を承認する」と書き、退職日を発令日にする形がよく使われます。なお、会社員が退職する時、労働基準法の第22条で求められているのは、本人が請求した時に交付する退職証明書の方です。

日付・敬称・句読点:辞令の文章で迷いやすいルール

ここでの結論

日付は「発令日」を書くのが基本です。敬称と句読点は法律の決まりがないので、社内の前例か公用文の考え方にそろえておくと、毎回迷わずに済みます。

辞令の文章は短い分、細かいところが気になりますよね。よく迷う3つを見ていきます。

日付は「発令日」を書く

人事院の通知では、人事異動通知書の日付欄に「異動を発令した年月日又は異動が発生した年月日」を書くとしています。札幌市の規程の備考も「年月日は発令の日とする」です。

会社の辞令も、渡した日ではなく効力が始まる日を書くのが一般的です。3月に渡す辞令でも、4月から効力が始まるなら、その日付を書きます。

「渡すのは来週だけど、日付はいつにすればいい?」
「異動の効力が始まる日にしておけば大丈夫ですよ」

発令日と交付日の違いは、辞令と発令の違いでくわしく紹介しています。

敬称は付けるか付けないかを社内でそろえる

『名前の後ろに「殿」や「様」は必要?』と迷う方もいるはずです。

辞令の敬称に法律の決まりはありません。国の人事異動通知書の様式も、欄の名前は「氏名」です。敬称を付ける会社も、付けずに氏名だけを書く会社もあります。

大事なのは、同じ会社の中でそろっていることです。過去の辞令を何枚か見て、いちばん多い形に合わせてみてください。

句読点と文体は公用文の考え方が参考になる

辞令の文章に句読点を付けるかどうかも、法律の決まりはありません。1行が短いので、句点を付けずに書く辞令も多く見られます。

迷った時の参考になるのが、文化審議会の「公用文作成の考え方」です。

公用文作成の考え方で決まっていること

句点は「。」、読点は「、」が原則で、横書きでは読点に「,」を使ってもよいとしています。ただし、1つの文書の中ではどちらかに統一します。文体は、訓令などの文書は常体(である体)、特定の相手への通知は敬体(です・ます体)としています。

辞令の「命ずる」「解く」が常体なのは、この考え方に近い書き方だからなんです。1枚の辞令の中で「命ずる」と「命じます」を混ぜないようにしておきましょう。

よくある失敗

前任者のファイルを上書きして作った結果、日付だけ去年のままだった、ということがあります。日付・氏名・部署名の3か所は、印刷の前に声に出して読み合わせておくと防げます。

辞令の印鑑・押印は必要?角印や割印の考え方

ここでの結論

会社の辞令に押印を求める法律の定めは確認できませんでした。押印がなくても辞令の中身が変わるわけではありませんが、社印(角印)を押すかどうかは社内の決まりにそろえておくのがいちばん安心です。

辞令の印鑑は、作る側がいちばん迷うところですよね。

参考になるのが、内閣府・法務省・経済産業省の「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日)です。契約は当事者の意思の合致で成立し、押印は特段の定めがある場合を除いて必要な要件ではないとしています。押印をしなくても、契約の効力に影響は生じないという説明です。

辞令は契約書ではありませんが、押印がないと効力がなくなる、という決まりは見つかりませんでした。

押印するなら、何をどこに押す?

押印する会社では、発令者の名前の近くに社印(角印)を押す形がよく見られます。角印の位置に法律の決まりはないので、過去の辞令と同じ位置にそろえておきましょう。

自治体の中には、押印を印刷で済ませているところもあります。京都市上下水道局の規程では、公印は「公印の印影の印刷をもって公印による押印に代えることがある」としています。

やり方向いている会社気をつけたいこと
社印を1枚ずつ押す辞令の枚数が少ない会社印影のかすれ・傾きを確かめる
印影を印刷する一度にたくさん作る会社印影の画像の管理者を決めておく
押印しない電子の辞令に切り替えた会社誰が出した辞令かを本文で分かるようにする

押印をやめる時に確かめたいこと

押印をやめる時は、就業規則や文書の取扱規程に「押印する」と書いていないかを先に見ておきましょう。規程に書いてあるなら、規程を直してから運用を変える順番になります。

辞令をメールやシステムで出す時の注意は、辞令の電子化・ペーパーレスでまとめています。

辞令の書き方でよくある疑問に答えます

ここでの結論

ネットのQ&Aでよく見かけるのは「辞令書に代表取締役の印鑑は必要?」「用紙の上の辺に押してある印は割印?」の2つです。どちらも、法律より社内の決まりで答えが決まる話です。

辞令の印鑑について、ネットのQ&Aで閲覧の多い疑問を2つ取り上げます。質問は要約して紹介しますね。

疑問1:辞令書に代表取締役の印鑑は要る?

「辞令書に、発行者である代表取締役の印鑑は必要ですか」という質問です。

結論から言うと、法律で求められているわけではありません。先ほどの押印についてのQ&Aの考え方からも、押印のあるなしで辞令の中身が変わるわけではないんです。

ただ、受け取る人は「会社から正式に出た辞令かどうか」を、印鑑で見ていることもあります。今まで押してきた会社なら、急にやめるより、押す・押さないを規程で決めてから切り替える方が戸惑いが少なくなります。

疑問2:用紙の上の辺に押してある印は割印?

「辞令用紙のいちばん上の辺に、印鑑が押してあるのを見た。あれは割印ですか」という質問もあります。

割印は、2枚の書類にまたがって押して、つながりがあることを示すための印です。辞令書を控えや台帳と並べて押す会社なら、上の辺に印の半分だけが残ることがあります。

ただ、何のための印かは、辞令書だけを見ても決めきれません。気になる時は、人事・総務の担当者に聞いてみてください。

辞令書き方の最終チェック
  • 発令日が、効力の始まる日になっている
  • 氏名の漢字が、社員名簿と同じになっている
  • 部署名・役職名が、組織図の正式な名前になっている
  • 外す行と就ける行の順番が、上から読んで分かる
  • 敬称・句読点・押印が、過去の辞令とそろっている
辞令を書き上げた後に確かめたい5つの項目を順番に並べたチェックリストの図解

辞令を作る仕事は、人の働き方が変わる瞬間に立ち会う仕事でもあります。辞令をきっかけに、自分のこれからのキャリアを考えたくなることもありますよね。そんな時は、今の会社で続ける道と並べて、外の選択肢も確かめておくと判断しやすくなりますよ。

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辞令という言葉の意味や種類を一から知りたい方は、辞令とは?もあわせてどうぞ。

よくある質問

辞令の例文はどこまで写してよいですか?

文例は、部署名・役職名・日付を自社のものに置き換えれば、そのまま使えます。大事なのは、社内の前例と言葉の使い方をそろえることです。

兼務の辞令は1枚にまとめて書けますか?

書けます。今の所属を外さない時は、兼務する部署だけを「兼務を命ずる」で書き足します。兼務を解いて別の兼務に就ける時は、「解く」の行と「命ずる」の行を上下に並べます。

辞令の文章に句読点は付けますか?

法律の決まりはありません。1行が短いので句点を付けない辞令も多く見られます。付ける場合は、公用文作成の考え方にならって1枚の中で統一しておきましょう。

「命ずる」と「命じる」はどちらが正しいですか?

どちらも使われています。札幌市の文例は「命ずる」、福岡市の規程は一部を「命じる」に改めています。社内でどちらかにそろえておけば十分です。

辞令の印鑑はシャチハタでもいいですか?

辞令の押印について決めた法律は見つかりませんでした。どの印を使うかは、社内の文書の取扱規程で決まります。規程が無い時は、人事・総務の責任者に確かめてから決めると安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 辞令の書き方に法律の型はなく、発令日・氏名・発令内容・発令者の4つが基本
  • 文末は「命ずる」「免ずる」「補する」「解く」の4つで組み立てる
  • 異動は外す行と就ける行を上下に並べると分かりやすい
  • 日付は発令日を書き、敬称と句読点は社内の前例にそろえる
  • 押印を求める法律は確認できず、押す・押さないは社内の規程で決める
辞令ドットコム

辞令ドットコム 編集部

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